「一杯どうぞ」玄人バー文化が若者に"拡大"の背景 まるでキャバクラ?獲得数を店員に競わせる店も

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大きなくくりで見れば飲食店全般を“水商売”と言うこともできるが、厳密には酒場とキャバクラは別ジャンルだ。酒場はうまい酒や料理を味わう場所、キャバクラなどは酒や料理の味うんぬんではなく、接待を楽しむ場。

しかし、前者に見せかけて「一杯どうぞ」という後者の要素を打ち出す店が増えており、その境目があいまいになっている。

賛否両論の文化だけど…

この「一杯どうぞ」の文化に対して「仕事中の人に飲ませるなんて!」や「店員が飲むドリンク代を客が払うのか!」と驚く人もいるだろう。

冒頭で述べたように、もともと万人に受け入れられている文化ではなく、一部の玄人客がする行為だ。お互いの信頼関係のもと、一杯もらう店員側も有りがたくいただき、飲んでも仕事中というプロ意識を忘れないようにやっていた。1つの酒場の楽しみ方として伝わっており、筆者も否定する気はまったくない。

しかし、最近の「一杯どうぞ」を明文化し、店側から強く推奨している店には「やりすぎ」と感じることもある。本来の「うまい酒や料理を提供する」をおざなりにして、お客と店員の関係を超えたコミュニケーションで「一杯どうぞ」を狙いにいくことや、その結果スタッフが仕事中に飲みすぎてしまうこともある。そんな店はお客にとって居心地の悪いものになってしまうだろう。

当然、店として利益を上げなければならず、お客からの一杯が有りがたいということはもっとも。しかし、本来はうまい酒や料理、接客を提供することを目的とした店であれば、まずはそちらに全力を注いでほしい。そうすれば、自然と粋な客から「一杯どうぞ」と言われるはずだ。それこそが“粋な店”なのではないだろうか。

【もっと読む】「パリピ飲み」が"普通の若者"の間でブーム化の訳 酒離れの一方でショット文化が再燃、一体なぜ では、アルコール離れの中で「ショット飲み」が再びブームになっている背景について、「フードスタジアム」編集長の大関まなみ氏が詳しく解説している。
大関 まなみ フードスタジアム編集長/飲食トレンドを発信する人

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おおぜき まなみ / Manami Ozeki

1988年栃木県生まれ。東北大学卒業後、教育系出版社や飲食業界系出版社を経て、2019年3月より飲食業界のトレンドを発信するWEBメディア「フードスタジアム」の編集長に就任。年間約300の飲食店を視察、100人の飲食店オーナーを取材する。
Instagram:@manami_ohzeki

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