「一杯どうぞ」玄人バー文化が若者に"拡大"の背景 まるでキャバクラ?獲得数を店員に競わせる店も
大きなくくりで見れば飲食店全般を“水商売”と言うこともできるが、厳密には酒場とキャバクラは別ジャンルだ。酒場はうまい酒や料理を味わう場所、キャバクラなどは酒や料理の味うんぬんではなく、接待を楽しむ場。
しかし、前者に見せかけて「一杯どうぞ」という後者の要素を打ち出す店が増えており、その境目があいまいになっている。
賛否両論の文化だけど…
この「一杯どうぞ」の文化に対して「仕事中の人に飲ませるなんて!」や「店員が飲むドリンク代を客が払うのか!」と驚く人もいるだろう。
冒頭で述べたように、もともと万人に受け入れられている文化ではなく、一部の玄人客がする行為だ。お互いの信頼関係のもと、一杯もらう店員側も有りがたくいただき、飲んでも仕事中というプロ意識を忘れないようにやっていた。1つの酒場の楽しみ方として伝わっており、筆者も否定する気はまったくない。
しかし、最近の「一杯どうぞ」を明文化し、店側から強く推奨している店には「やりすぎ」と感じることもある。本来の「うまい酒や料理を提供する」をおざなりにして、お客と店員の関係を超えたコミュニケーションで「一杯どうぞ」を狙いにいくことや、その結果スタッフが仕事中に飲みすぎてしまうこともある。そんな店はお客にとって居心地の悪いものになってしまうだろう。
当然、店として利益を上げなければならず、お客からの一杯が有りがたいということはもっとも。しかし、本来はうまい酒や料理、接客を提供することを目的とした店であれば、まずはそちらに全力を注いでほしい。そうすれば、自然と粋な客から「一杯どうぞ」と言われるはずだ。それこそが“粋な店”なのではないだろうか。
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