泣く子も眠る!「ハイテク照明」が続々登場 照明なんてみんな同じだと思ったら大間違い
スタートアップや大手照明メーカーも、似たような効果を語る商品を開発している。ゼネラル・エレクトリック(GE)は今年、体内時計と照明の関係に注目した「Align(アライン)」シリーズから、生活サイクルに合わせて色が変わるLED電球を発表した。
アップルのスマートホーム家電技術「Homekit(ホームキット)」に対応し、iPhoneなどiOS端末から制御できるようになる。
フィリップスが発売しているワイヤレスLED電球「Hue(ヒュー)」も、アップルのアプリで遠隔操作する。「くつろぐ」「集中する」など基本の「ライトレシピ」のほか、さまざまな色や明るさを演出できる。
照明を利用した健康管理
スーパーマーケットなど商業・産業用のスマート照明システムを手がけるデジタル・ルーメンスは、光の明るさとスペクトラムを調整して思春期の学習を支援するブラウン大学の研究に協力している。ルミファイが開発したアプリは、家庭やホテルなどの商業施設で、「くつろぎ」「活動」「集中」「セクシー」など場面に合わせて照明を調整する。
「このような電球が市場に出回れば、照明をコントロールするシステムを、誰でもごく手頃な値段で利用できるようになる」と、ルミファイの創業者で、建築士で照明デザイナーでもあるベエアトリーチェ・ウィッツガルは言う。「大きな革命だ」。
調査会社ラックス・リサーチのバイオエレクトロニクス部門を率いるミロス・トドロヴィックによると、照明を利用した健康管理に力を入れる企業も増えている。たとえば、照明を使って体内のコラーゲンの生成を促進し、傷の治癒を促すなど、照明によって人の気分を変え、肉体的なプロセスに影響を及ぼそうという研究も進んでいる。
一連の研究の目的はひとつ──通常の照明が体の自然のリズムに及ぼすダメージを、照明によって帳消しにすることだ。
消費者向けの新しい電球のなかには、光に反応する目の受容体を刺激して、「寝る時間だ」「活動を始める時間だ」という合図を脳に送り、休息と覚醒という肉体の基本的なパターンを調整するものもある。短波長の光──可視光線のスペクトルの端にある青い光──を受けると、目の受容体は、睡眠を誘導するホルモンであるメラトニンの分泌を抑制する。
白い人工照明は、電球やディスプレイ、スクリーンに使われるLEDを中心に、基本的に青色の波長が高い。そのため、日が暮れてからこの光を強く浴びると、眠気が抑制されて覚醒される傾向があり、慢性的な睡眠不足になりやすいと、ハーバード大学医学大学院の睡眠医学教授で、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の概日リズム睡眠障害部門の責任者を務めるチャールズ・A・ツァイスラーは言う。
「人工照明の量は、この50年間で1人あたり10倍に増えている。日が沈んでから夜ベッドに入るまでのあいだ、何もかもが昔よりはるかに明るくなった」