憲法訴訟法は本年1月25日に発効された。民進党は発効直前の23日に司法院へ2度目の仮処分と憲法解釈を請求した。ただ、司法院は大法官による仮処分の裁定がまだなく、春節休暇中の対応予定もないと回答した。
頼総統は改正内容が憲法法廷の運営妨害と司法権侵害の恐れがあるとして憲法解釈請求を指示した。それに対して国民党と民衆党は法改正に違憲の問題はなく、大法官の欠員補充が本質的な解決策だと主張している。
「選挙罷免法」については立法院が春節連休に入る前の1月24日午後5時前に送付を行ったのに対し、行政院は即座に再議の提案を決定している。「財政区分法」については国民党が公布延期を要請する一方、民進党は立法院正副院長の改選など対抗措置を示唆するなど与野党の攻防が続いている。
与党から憲法違反につながりかねない対処案も
与党民進党の立法委員の一部や支持者からは、総統が法律を公告しない、あるいは行政院長が法律に副署しないことで強行採決された法案に対抗すればいいとの意見まで出た。しかし、中華民国憲法の規定では総統の法律公告も行政院長の副署も義務である。もし総統が法律を公告せず、行政院長が副署しない場合、憲法違反となる恐れがある。
今後、難局を打開するうえでは憲法法廷による救済が考えられるが、上述のとおり改正「憲法訴訟法」が公布・発効したために憲法法廷は大法官の定数不足で機能が実質的に麻痺状態にある。これに対し専門家からは、憲法法廷が司法権を実行する独立機関として憲法上の手続き自主権を持ち、新法の制約を受けずに旧法で審査できるとの見解も示されている。
三法案をめぐっては、市民団体や与党支持者らを中心とした抗議運動が立法院の外で行われた。卓栄泰・行政院長(首相)は抗議する市民に理解を示したのに対し、国民党は行政院や民進党が市民の暴力を助長、煽動していると反発した。
美麗島電子報による2024年12月の世論調査では、政府による市民の抗議行動への支持については、43.1%が「政府による国会占拠の煽動」と否定的に評価し、34.2%が「民主主義を守るための正当な行動」と評価している。頼総統の施政に満足している層のうち53%が「正当な行動」と評価する一方、「政府による煽動」と批判的な評価を下している割合も21.4%と少なくない。
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