台湾の与党・民進党はかつて独裁体制に反発し政治権力を監督する立場として成長を遂げてた。しかし、今や民進党自身が権力者として市民の厳しい視線にさらされ、反発や怒りの声も広がっている。
1月11日、台湾の第2野党である台湾民衆党が台北中心地にある自由広場で大規模な反政府集会を開いた。参加者は主催者発表で15万人を超えたとされる。
台湾では昨年5月に民進党の頼清徳政権が発足した。しかし、立法院(国会)では民進党と最大野党の国民党がともに過半数に届かず、定数113のうち8議席を持つ民衆党がキャスティングボートを握ることになった。
頼政権発足前後から民衆党は民進党でなく国民党と協力する姿勢を鮮明にした。同党は国会改革をはじめとする争点をめぐり民進党政権と激しく対立。与野党の支持者の間では社会的亀裂が深刻化して今日に至っている。
新興政党トップの勾留に反対の声
今回民衆党が大規模な集会を行ったのは「司法の正義」を訴えるためだった。事の発端は昨年8月、同党主席だった柯文哲氏が台北市長時代の汚職容疑で逮捕されたことにある。
4カ月ほどの勾留を経て、台北地検は12月下旬に柯氏を起訴し、28年6カ月の懲役を求刑した。その後、地裁が柯氏の保釈を認めたものの、高裁の指示による差し戻し審で今月初旬に再度の勾留が決まった。
この間、柯氏は1月1日に党主席を辞任し、同党の立法委員(国会議員)である黄国昌氏が代理主席となった。黄代理主席のリーダーシップの下、今回の大規模集会が行われたのである。
民衆党は柯氏の勾留が長期にわたっていることについて、これまでも繰り返し疑義を呈してきており、今回の集会もその延長上にある。集会において、黄氏ら登壇者は頼清徳政権が司法を政敵に対する迫害に利用していると強調し、柯氏を釈放するよう聴衆とともに声を上げた。
集会では「司法の正義を守れ」とのスローガンに加え、「緑色権威主義」「緑色テロ」といった言葉も多用された。緑色は民進党のイメージカラーである。
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