立法院で3つの法律修正案が可決されたことについて、柯建銘氏は「野党が中国に台湾の民主主義を破壊させ、台湾を滅亡させ、民進党が政権を担えないようにするためだ」と非難した。ただ、世論調査ではこれに60.0%の市民が不同意を示した。
頼総統への信頼度は54.4%を維持しているが、卓栄泰・行政院長への満足度は前月比5ポイント減の39.9%まで低下した。民進党は48.2%の好感度(前月比1.8ポイント増)を保っているが、国民党は前月比7.2ポイント減の32.0%まで急落し、民衆党も23.9%と低迷している。
なお民衆党を率いてきた柯文哲・前台北市長への信頼度は9月の汚職容疑による勾留以降、19.9%まで低下している。特に主要支持基盤であった若年層と高学歴層での下落が顕著で、2024年9月から12月にかけて、20代の支持率は41.3%から29.7%へ、30代は36.1%から27.9%へ、高学歴層は33.6%から26.0%へと、いずれも3カ月で大幅に減少している。
単純な分断でなく、個別の行動が評価されている
以上の世論調査のデータからは、台湾社会の世論動向の特徴的な傾向を示している。まず与野党の政治的対立の構図では、単純な分極化ではなく、各政治アクターの個別の行動がそれぞれ評価されている。
民進党は、野党時代からの政策転換への批判や、与党でありながら市民の街頭抗議を支持したことへの反発を受けている。一方で、野党による三法案の強行採決や柯文哲の汚職疑惑が、結果として民進党への打撃を緩和する形となり、48.2%という相対的な支持率維持につながっている。
三法案に対する市民の態度も複雑な様相を呈す。三法案可決は野党が「中国との協働による台湾滅亡の画策」とみなす与党政治家の極端な主張には6割の市民が不同意を示すなど、過度な政治レトリックへの警戒感が見られる。
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