相撲部屋運営を担う「おかみ」の現実、苦難と笑顔 『千年おかみの哲学』書評

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『千年おかみの哲学』モリムラルミコ 著
千年おかみの哲学(モリムラルミコ 著/致知出版社/1980円/272ページ)
[著者プロフィル]モリムラルミコ(もりむら・るみこ)/本名は非公表。2016年から第十七代常盤山部屋おかみに専念。詩人。FM局アナウンサーを経て、元小結隆三杉と結婚した後も、おかみに専念するまで芸術劇団やNPO法人などで活動。

消滅間際の千賀ノ浦部屋を継承。さらに貴乃花部屋消滅に伴い弟子や裏方を受け入れたところ、同部屋出身の貴ノ岩が暴力問題により引退。双子の関取だった貴ノ富士と貴源治が暴力問題、大麻問題を立て続けに起こす……。これらはすべて、元小結隆三杉である常盤山親方の身に起きた出来事である。

数々の苦難が由来

幕内在位71場所。10年以上関取として土俵を踏んだ実績は、己に対する厳しさを物語る。一方、八の字の眉、まん丸とした輪郭に浮かべる笑顔に、現役時代から「弟弟子たちのオアシス」「角界のドラえもん」と呼ばれた温厚な人柄。親方としては愛(まな)弟子たちに寛大な心で接し、冒頭のような大問題に次々見舞われた時期も、自らに降りかかる火の粉を心配するより、目の前で困っている人を「かわいそう」と気にかけ、助けようとした。

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