理系出身の彼女が「ひな人形」の家業を継いだ理由 埼玉県川越市「春蔵」 キャリアの先に描いた夢

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親子でつくる春蔵のひな人形
父の津田直人さん(左)と、娘の祐希奈さんが織り成す、次世代へ伝えるひな人形とは(写真:春蔵)

おしゃれな色合わせの十二単(ひとえ)に、端整な顔立ちーー。「モダンな色彩とクラシックな形の融合」がコンセプトのひな人形を制作・販売しているのは、埼玉県川越市の「春蔵」だ。

春蔵では、ひな人形職人である父・津田直人さんが制作を担当し、娘の祐希奈さんがひな人形デザイナーとして企画から営業・広報・経理などを行っている。

「自分が家業に入るとは、思ってもいなかった」と話す祐希奈さんは、大学の理学部で学んだ後、民間企業で財務経理や営業をしていた異色の経歴を持つ。なぜ彼女は伝統産業の世界に足を踏み入れることを決意したのだろうか。

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ひな人形デザイナーになる前の意外なキャリア

大学で大腸菌のタンパク質に関する研究をしていた祐希奈さんは、「もともと理系科目が得意だったんです。とくに生物が好きだったので、理学部に進学しました」と話す。就職活動では専門分野の研究職や、繊維・化粧品業界での就職を目指した。

しかし、面接を受けるうち「業界や仕事内容よりも、社風を重視したい」と考えが変わり、チャレンジングな環境だと感じたIT企業に入社。財務経理の部署に配属された。

「当時、同じフロアに人事労務や広報といった部署があったので、財務経理の仕事だけでなく、組織の動きや意思決定の過程を体系的に学ぶことができました。経営会議を聞いたり、経営陣と話したりする機会もあり、大きな経験になりましたね」(祐希奈さん、以下の発言すべて)

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