吉野家「出店数激減?」に見る牛丼チェーンの変化 店舗数は頭打ち、早急に求められる新たな鉱脈

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2020年のコロナ禍の際には赤字に転落するも、2024年2月期決算では売上高1874億円(前期比11.5%増)、営業利益79億円(同2.3倍)と好決算を叩き出した。こうした追い風を受けて、店舗数の増加を見込んだものと思われる。 

特に増やそうとしていたのが、テイクアウト店とC&C業態と呼ばれる店舗。後者はクッキング&コンフォートの略で、カフェのような店内が特徴である。 

店内にはドリンクバーなども設置され、テーブル席も多い。特にコロナ禍明けで店内飲食の需要が戻ってきたことを受け、このC&C業態には力を入れる予定だった。 

吉野家
こちらが吉野家が増やしているC&Cタイプの店舗。ドリンクコーナーは、どこかファミレスのよう?(筆者撮影)
吉野家
カフェのような内装だ。清潔感があって、幅広い世代が利用できそうだ(筆者撮影)

こうした背景には「男性向け」という牛丼のイメージを覆し、さらに吉野家を成長させようという意図が隠れている。 

吉野家の歴史と発展 

吉野家の開業は1899年。日本橋の魚市場に誕生している。市場で働く忙しい人々のために、さっと食べられる牛丼を提供し始め、人気を博すことになった。 

スローガンは「うまい、やすい、はやい」で、牛丼以外のメニュー数は絞り、サラリーマンをはじめとした男性一人客向けに牛丼を安く、早く食べられることに注力してきた。 

同社の歴史の1つのターニングポイント……というか大打撃だったのが2000年代のBSE(牛海綿状脳症)の問題。基本的に「牛丼一筋」だった同社にとって牛丼が販売できなくなるという致命的な問題を与えた。 

こうした諸々の事情が重なり、特に現社長である河村泰貴氏が社長に就任した2012年あたりから徐々にそのイメージ転換を進めてきた。その中でのC&C業態の模索であり、出店加速だった。 

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