吉野家「出店数激減?」に見る牛丼チェーンの変化 店舗数は頭打ち、早急に求められる新たな鉱脈

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数年前からはとんかつの専門業態である「松のや」の出店を加速。また、カレー専門店である「マイカリー食堂」も誕生させて、この3店舗を複合させた併設店を多く出店している。 

松屋
こちらが3店舗を複合させた併設店。長い時間をかけて業態開発に向き合ってきた成果と言えるだろう(筆者撮影)

実際にこの店舗に訪れてみると、中はまるでフードコートのようであり、牛丼のみならずさまざまなメニューが選べるから、ファミリーなどにもってこいだ。 

松屋
清潔感たっぷりの店内。通路も広く、かなりスッキリしている(筆者撮影)

また、松屋では単独店でも外国の郷土料理とコラボしたメニューを提供していて、こちらもSNSで話題になるなど好評。最初はジョージアのシュクメルリ鍋定食から始まり、現在は超激辛の「水煮牛肉」を提供している。 

まさに「牛丼」だけに頼らない収益構造を目指し、実際に同社の業績は好調である。 

また、すき家は創業以来ターゲット層においているファミリー層向けのメニューを多く取り揃え、さまざまなトッピングを載せた牛丼や、ミニサイズ、サラダまで多く取り揃えることで地方・郊外でのシェアを盤石なものにしている。 

一方、こうしたファミリー向けの店舗だけでなく、特に都心部については店舗オペレーションの関係から「セミセルフ店舗」として、大きくDXを取り入れた店舗を展開し、ビジネスマン需要への対応も行う。

昨年、こうした店舗で使われている使い捨て容器が“ディストピア容器”として話題になったことも記憶に新しいが、それもこうした政策の一環である。 

すき家
働き方改革による「ホワイト化」が話題のすき家。しかし、効率化で「温かみがなくなった」と感じている消費者もいるようです(筆者撮影)

いずれにしても、これまでの客層とは異なる客層を呼ぶための政策、特にメニューの多角化を中心に牛丼チェーンが動いている。 

さまざまな新業態、新メニューを模索しているが… 

もちろん、吉野家も「脱牛丼」の流れを加速させている。 

例えばラーメンでは、多くの地方の小規模ラーメンチェーンのM&Aを繰り返している。昨年12月には関西のラーメンチェーン「キラメキノトリ」を買収すると発表、またそれ以前にもラーメン関連の食材の開発を手掛ける「宝産業」も買収し、ラーメン事業への意欲を見せる。 

ラーメン業界は昨年個人店の倒産件数が最多となる一方で、M&Aが続き、チェーン化と個人店減少の二極化が進み始めている。そんななかで、チェーン化の流れに乗ろうとしているのだろう。 

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