NYタイムズ「なぜ"大復活"できたか」日本への教訓 「売上も株価も急回復」日本企業に足りない点は

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デジタル版を開始した2011年からのNYタイムズの業績を見ると、デジタル版の購読料が成長を牽引していることがわかります。

(NYタイムズのアニュアルレポートより筆者作成)

この成長の出発点になったのが、2014年の「イノベーション・レポート」というのがメディア業界の識者の共通見解です。

これは(発行人の息子の)A.G.サルツバーガー氏を中心にまとめられた非公式なものですが、将来の発展のための戦略マニフェストの性格を有したモノで、このレポートで「新聞のデジタル版へのシフト」が強く打ち出され、その後の本格的なDXの出発点となったと言われています。

「仕事のやり方」と「組織」を変えた

イノベーション・レポートでは、「Audience Development(読者の開発) 」という紙の新聞からデジタルの新聞への変革を意図したフレーズ(スローガン)が打ち出されました。

それまでの紙の新聞の「記事(特に一面)を出せば一日の仕事は終わり」という仕事のやり方を、「記事を出して(ウェブにアップされて)からが仕事の始まり」と変化させたのです。

ウェブで記事を読み、それのSNSでのシェア、コメントのポスト、興味がありそうな記事のリコメンド機能や過去記事の検索機能といった、いまでは当たり前の「読者・ユーザーの利用に合わせた仕事」へと変えたわけです。

かつてNYタイムズでは、「ジャーナリスト(編集者と記者)が、広告営業などのビジネスから独立していることが、高品質な記事を担保している」とされていました。

この境界は「Church&State」と称されるほど厳密なものでしたが、これをテクノロジー、デザイン、顧客分析などと協業するかたちに変え、「デジタル新聞の発行に最適化された組織」に変えたのです。

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