「トランプ関税」に加え「原油高」が円安圧力となる 就任初日「原油価格引き下げ」を優先課題に

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既報の通り、退任直前の1月10日にバイデン前大統領がロシアの石油産業に対する経済制裁を強化したこともあって、原油価格は現在、80ドル近傍で高止まりしている。

「原油価格が70ドル程度で推移し、日本の貿易収支を改善させることが円安圧力を緩和する一因になる」と確信できるだけの状況になっていない。

1月15日にはイスラエルとハマスがパレスチナ自治区ガザでの戦闘停止で合意したが、本来であれば産油国イランが戦闘に巻き込まれる懸念が後退し、原油供給に対する制約が和らぐとの展開が想定されたところ、現実はそうならなかった。

今回のトランプ演説も明らかに原油価格の押し下げを招く内容に思われたが、そうならなかった。

このまま80ドル近傍での高止まりが続くとすれば、為替見通しの前提は大きく変わってくる。

「衰退は終わる」というが、もともと衰退していない

原油価格が高止まりすれば、日本の貿易収支の改善幅も限定され、需給面における円安圧力が残存することになる。

その上で金利面からはFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)の「利下げの終わり」、極端なリスクシナリオとして「利上げの始まり」が織り込まれるのだとすると円安局面の再起動はいっそう早まる。

トランプ大統領は演説において「アメリカの黄金時代が始まる」と切り出し、「この瞬間からアメリカの衰退は終わる」と声高に宣言しているが、そもそもアメリカ経済はその生産性の高さを背景に先進国では頭1つ抜け出た存在である。少なくとも「衰退している」というイメージは元々ないし、だからこそ米金利とドルは高止まりしてきたと言える。

その上で、これから移民制限や関税、減税といったインフレ誘発的なポリシーミックスが繰り出されるのであれば、「利上げの始まり」は決して絵空事にはならないだろう。

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