トランプ後「EV一辺倒」が変化する自動車産業 より現実的な脱炭素戦略への変化が加速化

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欧州各国は、エネルギー価格高に家庭への補助金で対応した。また、長引くウクライナ軍事支援もあり財政は厳しい。「EVの補助金どころではない」というのが、各国の台所事情であろう。各国議会の右傾化が進めば、この傾向はさらに強くなる。

ドイツでは2023年末にEVへの補助金が打ち切られた。2024年の自動車販売全体がほぼ前年同数だったことに対し、EV販売は27.4%減、ハイブリッド(プラグインハイブリッドを含む)は12.7%増となった。

欧州はEV政策の見直しが必要

フランスでも2024年12月にEV補助金は大幅な減額が決まった。今後、ドイツと同様の現象が欧州各国で起きれば、やはり欧州でもEVの販売は落ち込む。したがって、こちらでも、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車へのシフトが見込める。

しかし、EUでは自動車メーカーに課している燃費規制(CAFE)があり、メーカーはEV不振でこの基準を達成できなければ多額の罰金が科される。この燃費規制は2025年からさらに強化される予定だ。

CAFEは現状ですら達成が困難である基準であり、欧州自動車工業会は2024年末に「EVの補助金が減額され、EVシフトが進まない中で基準がこのままでは経営は破綻する」と主張し、EU政府にEV補助金の確保や基準の見直しを嘆願している。欧州政府と自動車産業とも、EV政策を見直さなければならないところに来ている。

国際エネルギー機関(IEA)は2024年、通常検索の10倍程度の演算を行うといわれる生成AIの拡大で、2026年には世界のデータセンターやAI、仮想通貨などによる電力消費量が2022年比で最大で2.3倍程度に増大する予想を出した。

日本の経済産業省も2024年12月に発表した「エネルギー基本計画原案」で生成AIによる電力需要の拡大を見込み、2040年度の総電力発電量が現状より1~2割程度増えると想定している。

これだけ、AIにより電力需要が膨らむ中で、果たしてEVの普及を世界の発電所は支えられるのかという問題が起きるだろう。

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