トランプ後「EV一辺倒」が変化する自動車産業 より現実的な脱炭素戦略への変化が加速化

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EVについてもアメリカ・共和党は「財政が厳しい中、価格競争力のないEVに補助金を付けてまで売ることはない」という考え方だ。よって、トランプ政権はEV補助金の減額、もしくは撤廃に動くとみられる。

ただし、EVそのものを反対しているということではない。EV「テスラ」のイーロン・マスクが政権に入ることからも、EVやバッテリーの投資、技術革新には積極策を打ってくるだろう。

そうした中、やはり注目を集めるのは、ハイブリッド車だ。ハイブリッド車は、脱炭素に貢献でき価格競争力もある。『ワシントンポスト』は2024年の最も環境にやさしいクルマとして、EVではなくトヨタ・プリウスPHEV(プラグイン・ハイブリッド)を選んでいる。

ハイブリッドブームがアメリカで続く

プリウスPHEVのEV走行距離は87キロメートル(WLTCモード、市街地・郊外・高速道路の各走行モードを平均的な使用時間配分で構成された国際的な燃費測定方法)だ。

街乗りとしては十分EVとして活用でき、遠乗りする時にはハイブリッド走行をすれば、バッテリー切れなど気にしなくてよい。価格競争力も十分あるので補助金がなくても売れるというわけだ。

また、中国の低価格のEVはアメリカの市場から排除されていく。そのためアメリカでのハイブリッドやプラグインハイブリッド人気はさらに高まり、今後数年は続くであろう。

視点をヨーロッパに移そう。2024年6月に欧州議会選挙が実施され、これまで強かったグリーン(環境)系の政党が議席を落とし、極右・右派政党が議席を増やした。国別に見てもドイツ、フランスなどでも右傾化が顕著であり、どこも与党は惨敗状態である。

この背景としては、2022年のロシアのウクライナ侵攻以降、ロシアからの天然ガス、石油の欧州への供給が大幅に減ったことが大きい。それによりエネルギー価格が高騰、そして物価高が家計を襲った。インフレは2023年には緩和されたが、低所得者層では賃金が上昇せず政権への不満が溜まっていった。

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