また、ユーザーが自ら運転するカーシェア、誰かに運転してもらうライドシェアなど、移動方法の選択肢の需要は、着実に増えてきている。だが、そうした「単なる移動」と「クルマを所有して生活を楽しむこと」は別物であり、相反する関係にあるという認識が世の中に広まっているように感じる。
そのため、クルマを通じたユーザーの自己表現として、ハイパワー化やファッション化を新車・旧車を問わず、求める声は継続されるように感じる。
2つ目は、「パワートレインのマルチパスウェイ」だ。
EVシフトやハイブリッド車への回帰など、クルマの次世代パワートレインについては、グローバルでのエネルギー安全保障問題を含めた政治と経済の関係性を背景に、先読みが極めて難しい状況にある。
その中で、日本はさまざまなパワートレインを国や地域、そして時流に合わせてフレキシブルに対応する「マルチパスウェイ」を提唱しているところだ。
ハイパフォーマンス系・アフターマーケット系のいずれにおいても、各社がマルチパスウェイを基本とした事業戦略を打ち出し始めており、各社の各事業領域において商品の「のびしろ」が期待される。
SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)の可能性
そして3つ目は、「付加価値の多様化」である。
たとえば旧車の世界では、若いころに手が出せなかったモデルをフルスペックでチューニングしたうえで、自宅に“フィギュア”のように飾っておく“大人買い”がある。
また、最新技術の観点では、各社がこぞって開発を進めているソフトウェアを主体したクルマ、SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)の活用が考えられる。
「ホンダ S+シフト」に見られるような、パワートレイン制御や効果音による「ドライバーとクルマとの融合」も、その一例だ。
自動車メーカーのハイパフォーマンス系・アフターマーケット系の進化は、EVシフトが進んでも歩みを止めることはないだろう。今後もさまざまな現場で、検証していきたい。
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