YouTubeとテレビの「テロップ」作り方が違う理由 同じ動画でも「フォント」や「画面構成」に大きな差

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 ここで、フォント選びが影響しているかもしれない一つの調査結果を紹介します。

総務省情報通信政策研究所による『令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書』よれば、10〜40代の情報源としての重要度は、インターネットが最も高く、次いでテレビ、新聞、雑誌の順でした。何かを知りたいときにまずインターネットで検索したりネットメディア、SNSを開いたりすることが多いということが窺えます。

一方、10〜30代の情報源としての信頼度はテレビ、新聞、インターネット、雑誌の順です。TV局のフォント選びがもたらす高いデザイン性や統一感が、信頼やブランディングにつながっている可能性は十分にあります。

このように、TVとウェブは同じ「動画主体」のメディアでありながら、視聴者ニーズや視聴環境、制作側の事情などが作用してフォント選びやレイアウトデザインの方向性に違いをもたらしていることがわかりました。

これは動画メディア自体が多様化していることの表れでもあります。また、トレンドが著しく変化する現代において、数年後には違う価値観のもとでフォントが選ばれているかもしれません。

番外編:フォントの基礎知識

一般的にフォントは明朝体とゴシック体に大別されます。

抑揚のある筆画で構成される明朝体は、主に小説などの書籍や新聞で使われています。小説では物語の情景がぱっと頭に浮かぶように、そして、新聞では情報がすっと入り込んでくるように設計されているのが明朝体です。

一方ゴシック体は、横組みで組まれる実用書や公共サイン、プレゼンテーションのスライドなどで使われることが多く、視認性が求められる場面では特に、その均質で整理された筆画が力を発揮します。

書籍 明朝体
書籍で使用される明朝体(鳥海修『文字を作る仕事』晶文社)
書籍 明朝体
書籍で使用されるゴシック体(小林章『フォントのふしぎ』美術出版社)

明朝体もゴシック体も、適材適所な使われ方が必要です。ある場所では非常に読みやすいフォントでも、場所を変えると読みづらくなってしまいます。さまざまな個性を持ったフォントが世の中には存在し、それらを使いこなすのがクリエイターの腕の見せどころでもあります。

家長 大輔 ロングハウススタジオ 代表取締役 クリエイティブディレクター

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いえなが だいすけ / Daisuke Ienaga

1992年京都府生まれ。立命館中高、立命館大学を経て、「五感に伝わる、訴えかけるクリエイティブを」をコンセプトに2017年「株式会社ロングハウススタジオ」を設立。企業PVや教育機関での動画教材の制作から、SNS展開も含めた包括的なブランディング支援、国際会議や学会のハイブリッド型配信に至るまで幅広く手掛ける。

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土井 遼太 書体デザイナー/グラフィックデザイナー

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どい りょうた / Ryota Doi

1990年島根県生まれ。東京藝術大学デザイン科を卒業後、英国レディング大学書体デザインコースで修士号を取得。2015年より書体デザイナーとしてMonotypeに在籍し、和文書体や欧文書体のデザインプロジェクトに携わる。一方で、2020年に個人事務所 Ryota Doi Design Office を設立し、さまざまなクリエイティブの分野に活動の幅を広げている。

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