このようなときは、「楽しんできてね!」と言い換えてみましょう。「楽しむ」という言葉は、ポジティブなエネルギーを生み出します。子どもが「楽しもう」と思うことで、緊張が和らぎ、自然とリラックスした状態になるのです。
スポーツ選手が試合の前に「自分のプレーを楽しもう」と自分に言い聞かせることがあります。近年のオリンピック選手が試合前に「楽しんできます」とインタビューに答え、試合後は「楽しかったです」と答える姿を多く目にするにつれ、時代は変わったものだなと感じます。
昔も「楽しんでいる人が勝っていた」のですが、それを表に出してしまうと当時の社会的風潮から「楽しむとは何事だ! 真面目にやれ!」とクレームがつくため、なかなか言えなかったのです。そのため、「頑張る」「努力する」「真面目にやる」という緊張を誘発する言葉しか使えませんでした。しかし、現代は異なります。「楽しむ」マインドが最強であることはすでにアスリートの世界では常識になりつつあります。
日常の場面で「心が動く声かけ」を実践する
ここまで紹介したように、子どもの行動を変える声かけのポイントは、「禁止」ではなく「提案」に切り替えること。そして、「緊張」を意識させるのではなく、「楽しむ」意識を引き出すことです。禁止や緊張という言葉に執着することから親も指導者も離れる必要があります。いつまでも、そこに執着するのではなく、別に振り向けるのです。それが、新しい「提案」です。
以下の具体例を参考にしてみてください。
◉スーパーで走り回る子どもには、「走らない!」ではなく「カートを押すのを手伝ってくれる?」または「ゆっくり歩こう」
◉公園で興奮している子どもには「危ないから走らない!」ではなく「あそこのベンチまで歩いて競争しよう!」
◉緊張している子どもには「リラックス、リラックス」ではなく、「みんなに話すのを楽しんできてね!」
◉ピアノの発表会前に「頑張ってね」ではなく「楽しんで弾いておいで」
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