高血圧予防には塩分制限と思う人が知らない真実 もっとも注意すべきことは食事ではなかった

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結果、なんと肥満がもっとも重大なリスクであることが判明しました。若年での高血圧発症の約35%が肥満によって説明されたのです。食事と運動はそれぞれ高血圧発症の15%程度を説明しており、アルコールはそれよりやや低い結果でした。

塩分の摂取量を測定するのは困難

この結果が示唆するのは、「食事や運動も大事だが、とりあえず減量を目的とするアプローチが高血圧予防には効果的だ」ということです。高血圧といえば塩分、と思っていた方には、少し斬新な知見ではないでしょうか? しかし、全ての研究には限界点があります。この研究の限界は、それこそ塩分の測定法にあるのです。

実は、塩分の摂取量を測定するのは、非常に困難なのです。きちんと測定するには24時間蓄尿を行い、尿中の塩分量を測定しなければならず、しかもそれを数日行う必要があります。しかしこれはなかなかできませんよね。そこで私たちは、質問票のデータをベースに塩分量を予測する機械学習モデルを作りました(※2)。

このモデルはそれなりに精度高く予測できたのですが、その予測は身長や体重でかなり説明されていました。それは単に「大きい人がたくさん塩分を摂取する」という事実をみているにすぎません。大きい人はたくさん食べるので、塩分を含むいろんな栄養素をたくさん摂取しているのは当たり前です。高血圧などの病気発症において重要なポイントは「同じ食事摂取量での塩分が占める割合」であり、これは質問票の内容では精度よく予測できませんでした。

上の論文でもこの予測モデルを使いましたが、上述の理由で塩分の寄与は信頼性高くわかりませんでした。ですので、肥満と塩分のどちらが重要か、といった疑問に答えるような結論は得られませんでした。

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