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宇宙に行くと、目にはどんな影響があるのでしょうか?(写真:ペロリ/PIXTA)
2024年11月、文部科学省から「裸眼の視力が1.0に満たない小中学生の割合が、過去最高だった前年から横ばいで推移している」と発表があった。ここ数十年、子どもの視力の低下傾向は止まらない。視力が悪くなってもメガネをかければよいと思われがちだが、近視は将来的に失明のリスクが高くなるため、危険な疾患だ。
眼科医としてこの問題に向き合っているのが、窪田良氏。科学的にも証明されている「1日2時間の屋外活動で子どもの近視は抑制できる」ことを知ってほしい、と発信を続けている。
今回は、『近視は病気です』著者の窪田氏と、『東大宇宙博士が教える やわらか宇宙講座』(東洋経済新報社)の著者である井筒智彦氏が、「子どもの外遊び」や「宇宙と目の関係」などをテーマに全4回で対談をする。第3回では、宇宙における目の問題や、窪田氏が開発中の超小型眼科診断装置について語り合う。
宇宙に長期滞在すると目が悪くなるのはホント?
井筒:宇宙飛行士になると、視力が低下すると言われていますよね。宇宙飛行士の若田光一さんは、目が良いことが自慢だったそうですが、宇宙から帰還後に視力が低下し、メガネをかけるようになったと聞いたことがあります。宇宙に行くと、目にはどんな影響があるのでしょうか?
窪田:今、推測されているのは、SANS(Space Flight-associated Neuro-ocular Syndrome)と呼ばれる現象です。無重力化によって体液の分布が変わり、脊髄や脳を包んでいる髄液の圧が上がることで、網膜の後ろから眼球が圧迫される。眼球の丸い形がつぶれて扁平化します。それによって虚血になり、遠視が引き起こされると考えられています。
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