火星移住に向けて解決すべき「目の問題」 「宇宙」と「目」の不思議な関係とは何か

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井筒:実は、今回『近視は病気です』を読んで、すぐに眼科に検査を受けに行きました。異常なしだったのですが、片目にほんのわずかですが黄斑萎縮があって。医師からは「2、3年ごとに検査して経過を見ましょう」と言われました。

窪田:井筒さんの場合、もともと近視があったことから、近視性の黄斑変性の可能性がありますね。

(出所)『近視は病気です』

井筒:はい。何も知らないまま、ある日、突然目が見えづらくなって、病院に行ってそう告げられたらショックだったでしょうが、本を読んで知識を備えていたことで心構えができていました。

子どもの近視は外遊びによって進行を抑えられる一方で、私のように大人の近視に対しては、何かできることはありますか?

「大人でも屋外活動は目によい」報告も

窪田:元々、屋外活動による近視の抑制効果が明らかになっているのは、目の成長期にあたる20歳頃までと考えられていて、大人に効果があるかどうかは研究が進められている段階です。

ただ、最近オーストラリアで行われた研究では「屋外活動は大人の近視抑制にも効果がある」との報告がありました。オーストラリアは、最先端の近視研究が盛んな国の一つ。この結果には期待が持てます。いずれにしても、屋外で太陽光を直接浴びて遠くを見ることが目に良い影響を与えるのは間違いありません。

窪田良
窪田氏(撮影:梅谷秀司)

井筒:世界でもどんどん近視研究が進められているのですね。

窪田:はい。さらに新しいテクノロジーの開発によって、大人の近視に効果的な治療法がこれから出てくる可能性もあります。私たちが開発した治療用メガネの「クボタグラス」は、光の力で矯正的に遠くを見ている状態を作り出すもの。すでに子どもでの効果は実証されていますが、何歳まで効果があるのかはこれから検証を進めていくところです。ぜひ今後の展開に期待していてください。

(出所)『近視は病気です』

井筒:はい。目に負担がかからないような生活を意識しつつ、新しい情報を待っています!

(構成:安藤梢)

井筒 智彦 宇宙博士、東京大学 博士号(理学)

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いづつ・ともひこ / Tomohiko Izutsu

1985年生まれ。東京大学理学系研究科 地球惑星科学専攻 博士課程修了。NASA(アメリカ航空宇宙局)人工衛星のデータ解析により、宇宙プラズマの乱流輸送現象を世界で初めて実証し、2010年地球電磁気・地球惑星圏学会にてオーロラメダルを受賞。東京大学での研究を終え、コロラド大学のNASA人工衛星解析チームに入る話が進むも辞退し、2013年少子高齢過疎化が進む広島県北広島町芸北地域に移住。宇宙飛行士のコスプレをして、テレビ、ラジオ、新聞、YouTubeなどのメディアで宇宙の魅力を楽しく伝えながら、「宇宙町おこし」に取り組んでいる。その活動が評価され、2015年公益社団法人日本青年会議所の人間力大賞・総務大臣奨励賞を受賞。●井筒智彦YouTubeチャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UCL7OvecPUxQ413cFJ0CIosw

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窪田 良 医師、医学博士、窪田製薬ホールディングスCEO

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くぼた りょう / Ryo Kubota

慶應義塾大学医学部卒業。慶應大医学部客員教授、米NASA HRP研究代表者、米シンクタンクNBR理事などを歴任。虎の門病院勤務を経て米ワシントン大学助教授。2002年創薬ベンチャー・アキュセラを創業。2016年窪田製薬ホールディングスを設立し、本社を日本に移転。アキュセラを完全子会社とし、東証マザーズに再上場。「エミクススタト塩酸塩」においてスターガルト病および糖尿病網膜症への適応を目指し、米FDAからの研究費を獲得し研究開発を進めているほか、在宅医療モニタリングデバイスや、ウェアラブル近視デバイスの研究開発を行っている。

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