29歳のライフ&アートが詰まった「6畳の秘密基地」 小さな部屋から始まる「冒険」は"境界"を超えて

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「今もアートの現場で性別に基づく偏見を感じることは少なからずあります。でも、そんなときに私のアートを見て、ジェンダーとの良い意味でのギャップを感じてくれる方がいると心強いし、励みになりますね」 

ジェンダー平等が叫ばれる時代でも、仕事そのものより先に「女性であること」が注目される。そういった能力や実績よりも、性別で役割や立場が決まってしまうジレンマは今も根深く残っている。

特にアーティストのように自分のキャラクターが色濃く仕事に反映する職種は、そこに性差という特性もついてまわる。ChaNkRoさんは、こうした状況を避けるため、戦略的にジェンダーイメージをコントロールしているという。

ボタニカルなディスプレイ
ポップなものが好きな一方で、ボタニカルなものも好き。そういった好みは入れ墨の図案などに生かされている。自身の入れ墨の図案も自ら考え、誰もがカジュアルに楽しめるタトゥーシールも制作している(撮影:今井康一)

「私はアーティストとしては、基本的に顔出しをしていません。それによって、性別に縛られずに作品そのものを評価してもらえると思うんです。ただし、個展にいらっしゃった方には顔を見せています。女性であることを隠したいわけではなく、女性としての自分を見せるタイミングや場面を、自分で決めているんです」

ジェンダーの境界線は今も存在するが、それをどのようにコントロールし、生かしていくか。ChaNkRoさんの姿勢には、若い世代ならではの感性でこの問題に向き合う、しなやかさを感じる。

「好き」を武器に、限界を超えて

1990年・2000年代の雑誌たち
イメージソースとしている1990年・2000年代の雑誌たち。「『3:00a.m. 仕事しているのはあなただけじゃない。』って、すごいコピーですよね。今ではコンプラ的に考えられない(笑)」(撮影:今井康一)
仕事をしている様子
SNS時代において、若者は気を配らねばならないことが増えた。「ソーシャルも大切かもしれないけれど、そこに振り回されて病んでしまってはもったいない。『周りのことなんてどうだっていいよ。今日より明日、少しでも絵がうまくなっていれば』そんなふうに自分でも思っていますし、周囲のアーティストや、それを目指す若い人にも伝えたいです」(撮影:今井康一)

本名で暮らす生活者・仕事人であるデザイナーとしての自分から、アーティスト・ChaNkRoとしての自分に「もしメッセージを伝えるなら?」と問うと、彼女は次のように言った。

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