このままでは「日本は失われた40年」へ突入する 「2050年の日本経済」へ向けて、総括が必要だ

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競馬である。

1年の総決算の競馬と言えば、ひと昔前は有馬記念だった。だが、ギャンブラーは一般的に、最大のゲームの後、それで失った分を取り返そうとして、残り全部賭けるものだ、という習性を利用するのが、胴元のセオリーだ。JRA(日本中央競馬会)も、メインの後の最終レースでそれを行うだけではなく、有馬記念という世界最高の競馬ギャンブルレースの後に、宴の後として、中山競馬場で行われる2歳チャンピオン決定戦、ホープフルステークス(芝コース、距離2000メートル、G1、今年は12月28日)を持ってくるようになったのが、2017年である。

2024年の締めくくりは東京大賞典で勝負する

しかし、競馬の締めくくりが2017年から有馬からホープフルに変わった、と言ってしまっては、競馬ファンとしては素人だ。正しい競馬ファンは、締めくくりは常に、大井競馬場で行われる東京大賞典(ダートコース、距離2000メートル、G1、今年は12月29日開催)なのである。

私も若いころは、盟友たちと大井に行き、勝っても負けても夜開いている築地の鮨屋で打ち上げをし(これこそ本当の打ち上げだ)、そのときの彼らの懐具合で、銀座に繰り出すか、誰かの下宿先(古い言葉だ)に押しかけたものである。

しかし、今年は、有馬もドウデュースが取り消しても豪華メンバーと言われたが、東京大賞典は、さらに豪華メンバーが結集した。有馬はいくら豪華でもほとんど日本ローカル競馬だったが、こちらは、日本馬だけであっても、世界レベルの競馬になりそうだ。

ダート、芝を合わせても、いまや世界最高峰のレースはフランスの凱旋門賞ではなく、ドバイワールドカップか、アメリカのブリーダーズカップクラシックではないかと私は思う。

おそらく同意見であるJRAの矢作芳人調教師は、最高の自信作、フォーエバーヤングをサウジダービー、UAEダービーと使ってから、世界最高のダービー、ケンタッキーダービーに送り込み、3着惜敗とした。

秋は大井開催のジャパンダートダービーを使ってから再度アメリカに送り込み、ブリーダーズカップクラシックを取りに行ったが、またもや3着惜敗となってしまった。

そして、2025年の春はドバイワールドカップを取るために、ここで大井の東京大賞典を使うこととした。矢作師に、フォーエバーヤングの出走先として選ばれたのは2回ともJRAではなく、大井競馬であることを、NAR(地方競馬全国協会)は誇りに思っているだろうが、もっと宣伝に使ってもいいと思う。

ということで、ここはフォーエバーヤング。単勝。これに昨年の覇者ウシュバテソーロ、チャンピオンズカップ惜敗のウィルソンテソーロが、どこまで近づくことができるか。

有馬は豪華メンバーではあったが、レースは平凡でつまらないものだった。だが、ダート競馬特に大井競馬場ではそういうことはほぼありえず、これも、ダート競馬の優秀性、能力検定レースとしての価値の高さを示している。熱いレースを楽しみにしている。

※ 新年は1月11日(土)配信の予定です(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

小幡 績 慶応義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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