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このままでは「日本は失われた40年」へ突入する 「2050年の日本経済」へ向けて、総括が必要だ

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  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授
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この話は、20年前に、私が日本経済新聞の「経済教室」にすでに書いていた(「企業統治の新地平」(下、2004年5月20日)。つまり、「失われた30年」になることは、「失われた10年」の時点でわかっていたのである。少し長くなるが、引用してみよう。

「右肩上がり」が「ガバナンスなしの効率経営」を可能に

<(1950年代以降)製品市場の競争だけが企業経営を規律付けるメカニズムであった……。日本企業では、株主だけでなくすべてのガバナンスメカニズムが機能していなかった…(中略)。それでは、高度成長など、戦後の日本企業の大成功はどう説明するのか。筆者は、高度成長という「右上がり経済システム」が、ガバナンスなしで企業経営が効率的に行われることを可能にした、と考えている。右上がり経済においては、企業のすべての利害関係者にとって、十分に収益の上がる将来が存在するため、長期的成長を目指すことが望ましい。経営陣も従業員も、企業の成長にすべてをかけた。(中略)株主、債権者である銀行、政府の利害も一致した。私はこれを「右上がりガバナンス」と呼んでいる。

しかし、90年代以降、「右上がり」の前提が成立しなくなり、ガバナンスを放棄していた資金提供者の資金は失われ、企業の資源の有効活用もできなくなった。(中略)経営の転換が図られなかった日本企業は十数年間、部分的なリストラに終始し、活力は衰退した。ガバナンス主体の不在が90年代の衰退をもたらしたのである。>

学者としての私は、この後の20年間、進歩しなかったが、日本経済も同様に進歩せず、私も日本経済も、続く20年を失い続けた。

つまり、1990年代に続き、21世紀に入ってからの10年間も、日本経済が停滞したという認識が続いたのは、21世紀の日本経済に対応した新しいシステム、ガバナンスメカニズムという狭い領域だけでなく、日本経済全体の新しいシステムが提示されなかったこと、新しいシステムに移行しようとしなかったことによるのだ。不良債権処理が終わり、1990年代のバブルの後始末がようやく終わった21世紀においても、日本経済は新しいシステムが存在しなかった。ビジネスモデルすら存在しなかった。

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