タクシー乗り放題1円「昭和の始まり」どんな時代? 「2025年は昭和100年!」当時を振り返る

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大正天皇の崩御によって「昭和」の時代が始まったのは、1926年12月25日。今年、2025年は昭和100年の年である(写真:まちゃー/PIXTA)
今年、2025年は昭和100年の年である。昭和が始まった時代、この国はどんな姿だったのだろう。
新年を迎え、遠くて近い昭和を、改めて「いま・ここ」に呼び出してみると、姿かたちの定かでない「大衆」が、消費者として時代の前面に浮上する。
不気味な「影」のように現れたその時代現象は、消費を加速し享楽をもたらすと同時に、いずれ戦争に引きずられてゆく怪しくも暗い揺らめきとして、昭和戦前の日本を特徴づける。

タクシーは市内ならどこまで行っても1円

大正天皇の崩御によって「昭和」の時代が始まったのは、1926年12月25日のことである。

大正デモクラシーを経たこの時代は、ちょうど「大衆化」の第一波が押し寄せた時期であった。私鉄沿線の郊外に、一戸建ての分譲住宅「文化住宅」が造成され、中流向け洋風住宅としてブームを呼んだ。

この時代、タクシー料金が市内ならどこまで行っても1円という「円タク」が登場した。大衆化の波は、タクシー料金を規格化された1円の商品として市場化したのだ。

日本のタクシーの歴史は、明治末年のT型フォード(6台)にまで遡る。その後、人力車にならって夜間割増し制度までできたが、料金体系がバラバラで利用者からの苦情が相次ぎ、円タクの登場となった。

円タクは大阪から始まり、昭和2(1927)年には当時の東京市内(武蔵野市、三鷹市は圏外)でも普及した。

やがて料金メーターを設置したタクシーもふたたび登場するが、円タクは戦時期にガソリン不足で石炭車、木炭車に切り替わったのちの昭和19(1944)年に廃止になるまで続いた。

この円タクと同じ頃、出版界でも1円のヒット企画が生まれていた。

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