NY進出の一流寿司職人「超ハングリーになった」訳 伝統を守るモダニスト、中澤圭二氏の矜持

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ニューヨークで「Sushi Sho」を切り盛りする中澤氏(写真:Marissa Apler/The New York times)

寿司の鉄則として、印象的な店ほど看板は小さくなる。

例えば、東41丁目の金属製ドアの横にある杉の塊。記者のノートほどの大きさと形をしたこの木には、日本語の文字が彫られている。「Sushi Sho」。

ドアの向こう側では、世界で最も影響力のある寿司職人の1人、中澤圭二が、3月の開店以来、ほとんど騒がれることもなく働いている。中澤が東京で3店舗、ホノルルでもう1店舗、予約の取りにくい寿司カウンターを経営していることなど、知る由もないだろう。

また、彼が育てた約30人のシェフが、東京、香港、ソウル、ロサンゼルスにある自分のレストランで彼のスタイルを継承していることも知る人は少ない。彼に支えられ、これらの店のいくつかは「すし匠」の名を冠している。

コースだけで終える客はいない

この小さな看板から、特に掟に詳しい人なら、店内での体験はけっして安くはないことがわかるだろう。実際、すし匠の5面ヒノキのカウンターで前菜と握りを交互にどんどん食べていくと、サービス料込みで450ドル(約7万円)ほどになる。

そこで終えることもできるが、そうする客はほとんどいない。ほとんどの客は、滑らかでクリーミーな鮟肝に、スイカの漬物を添えたものなど、お好みメニューから少なくとも数品を注文する。これらの追加メニューは、リンゴを乾燥させてかんぴょう風に味付けしたロールケーキが10ドル、赤ウニ50ドルまで揃っている。

あん肝の上にスイカの漬物を載せたもの(写真:Marissa Apler/The New York times)
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