一青窈が問う「闇バイトや無敵の人」犯罪の深層 【後編】犯罪心理学者・出口保行さんを訪ねて

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昔は大きな犯罪に関わるようになるまでには、それなりの道のりがありました。まず少年の非行から始まり、何度か検挙され、こうやったら捕まるとわかっている人たちがそれでもまたやってしまったという犯罪歴があったのです。

ところが、今やっている人たちはド素人なので、自分のしていることがどんなことにつながるのかがわからないまま、犯罪に巻き込まれていることが多いように思います。

そうした素人の犯罪者たちにしてみると、自分は罪を犯しても仕方がなかったと思っているわけです。いつどこに集まれと言われ、そこで、イヤーモニターから指示される通りにやっただけ、だと。

しかも彼らは闇バイト組織に自分の個人情報が知られてしまい、「家族に危害を与えると脅され逃げられなかった」と言いますよね。普通に考えれば、だからと言って他人のものを奪い、最悪、命まで奪うことが許されるわけはないのに、「仕方がなかった」という言い訳が最後まで通ると思っている。

一方、今まで何度か犯罪を経験してきた人は、そんな言い訳が通用するわけがないと知っています。それが最近の犯罪者との大きな違いだと思います。

犯罪予測ができない「無敵の人」

一青:そうだとすると、想像力があれば、犯罪に手を染める前にブレーキをかけられますよね。その想像力を養えるように導くことができればよいのでしょうか。

出口:その通りです。自分の選択した行動がどのような結果につながっていくのかを想像できるようになることが大切です。

ただ、安倍元首相を撃った人、京都アニメーションに火を放った人、電車の中で刃物を振り回して人を切りつけた人のように、「無敵の人」と呼ばれるような犯罪者も出てきています。

普通の人は「リスク」と「コスト」が想像できるから、一線を越える前に踏みとどまることができるものです。リスクというのは、これをやったことで捕まってしまうというリスクの高さで、コストというのは、捕まるかどうかは別にしても、自分がやったとわかることで失うものの大きさです。失うものとは、信頼、尊敬、友だち、家族などです。

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