Mー1王者も恐れる、漫才で「滑った」ときのあの感覚 ノンスタ石田×ギャロップ林の同期対談が実現
林:でも、間がおかしくなって(相方に)渡すのはあかんから、俺はちょっと体を動かして、「こいつまだなんかある」と思ってもらうようにしてる。ただ、それ自体を滑りすぎて忘れるときがある(笑)。
石田:うちの相方もあんなスタンスでやってるくせに、滑るのめっちゃ嫌いやから。
林:ああ、うちもや。毛利とか井上なんか、なんぼでも滑ったらいいやん。あいつらは不死身やから、滑っても何度でも生き返れる。何かを守ってるつもりやけど、実際後ろに何もあらへんやん。
石田:滑るの嫌いやから、すぐ撤退するんよ。それで、変に真面目やからテレビの収録でも尺をめっちゃ守ろうとする。「いやいや、ウケてから次行こうや」って思うけど、すぐ切る。
この間、テレビのネタ番組に出たんやけど、えぐいくらい滑り始めた。賞レースの前にゲスト漫才をやったんやけど、「これあんま受けてへんぞ」みたいな空気になってた。
1組目、2組目の若手がするっと終わって、俺らが出てもあんまりウケへんかった。そのとき井上に「巻く」スイッチが入ったんよ。それで巻こうとしているうちに、ネタも飛んだんよ。「行ってきます!」って言わなあかんところで、「ただいまー!」って言った。
林:それ、飛んだんじゃなくて、大間違いや。
石田:まだ行ってへんのに、「もう帰ってきてしまった」状態で、そこからネタを続けなあかん。もう井上は帰ってきてるから、このままだと終わってしまう。だから、そこからアドリブで伸ばしてるんやけど、井上がずっと「何、伸ばしてんねん」みたいな顔してんねん。
もう本人はネタが飛んだことにすら気づいてないねん。
林:なるほどね。確かに、井上や毛利は気づいてないこと多いわ(笑)。
それでさ、2人で飲んだりすると、わけわからんバトルが起きるやん。「どっちの相方がきついか」バトルとか。焼き鳥屋でけんかしたことあるわ。「いや、絶対俺の相方のほうがヤバい」って。一番よくない酒やわ。
石田:一番よくないな。ただ、ずっと相方をこき下ろすだけのやつ。
「現役漫才師」でいるためのこだわり
林:でも、現役でテレビ番組で滑ったりしながら、NSC(吉本総合芸能学院)講師もしてるんやろ? それってめっちゃキツくない? 漫才の番組は生徒も見てるやん。「(滑った漫才を)この前見ました」とか言われるわけやろ。
石田:だから最近は、テレビで漫才するときはちゃんとしようと思う。
林:でも、力の入り具合でマイナスになることもあるやん。それを言い訳にもできへんしな。ようやるなあと思うよ。
石田:最近、「THE MANZAI」があったりして、スタンダードな漫才はやってきたし、若手にもうちょっと違うことを見せたい。「NON STYLEは現役でやってます」って思ってほしいから。
林:ちゃんと負荷かけて高得点を出す、みたいな感じやね。