Mー1王者も恐れる、漫才で「滑った」ときのあの感覚 ノンスタ石田×ギャロップ林の同期対談が実現
林:うん、ちょっと前なら違ったかもしれんけどね。
そうなると「マラソン大会があるわけじゃないけど、毎朝走る人」みたいな感覚に近いよね。ただ全然ペースは緩い。みんなが「書くのやめた」みたいになってるなかで、「また新ネタやってるやん」とか言われたけど、年に4本とかやからね。
石田:でも、それがまあまあのクオリティで作れてたやんか。
林:観た人がそう言ってくれたりもしたけど、当然4本中4本よかったわけじゃなくて、挫折した何本かもあるし、「これネタですか?」みたいなやつもあったしね。
石田:あれはなんでなんやろな。俺もネタ作るけど、最初はおもろいと思って作ってるわけやん? それに、ちゃんと今まで受けてきた実績も一応あるわけですよ。なのに……滑るよな?
林:滑る、滑る。
石田:なんでかわからへんねん。特に、俺たちが「おもろい!」って思えば思うほど滑らへん?
「滑る」って、普通に生きてたらほぼない経験
林:滑るには2パターンあって。ひとつは、構えすぎてそれが全身から出すぎて滑って、「思い込みすぎたんかな……」って考えたりする。もうひとつは、「これはいけるわ」と思ってたのに急に滑って、めっちゃ焦る。「まだ滑るときの感覚つかめてないやん……」ってなるやつ。
石田:普通に生きてたら滑るって経験、ほぼない。
林:バットを振らなきゃ三振しないってことやからな。
石田:でも、ほんまにみんな1回でもいいから滑ってほしい。滑ると世界が無音になるんよ。
林:「あ、クーラーってこんな音してたんや」みたいなね。
石田:「電球って実はチチチっていってるやん」とかが聞こえてくる感覚になったりする。
でも、「これは滑るやろな……」と思って滑るときは意外とワクワクできるやん。「これは滑るで!」っていうのが予定通りになっている興奮があるから。そうじゃなくて、「ここは手堅くウケとこう」と思ったボケでツルーっと滑ると、「あかんあかん、ネタ飛んだ」ってなって「滑り飛び」する。
林:リズムも変になるしね。「あ、今のところ滑った。でもここでなんとかウケて次行きたいから予定外のこと言わせて。毛利わかってるか? いや、あかんか、次行っちゃうかー」みたいな(笑)。
石田:ツッコミの人って、見切り早いよな。
林:早い。しかも井上も毛利もめっちゃ早いタイプ。
石田:俺らってまだ粘りたいやん。「ごめん、ウケてからじゃないと次のくだり行きたくない」みたいな。