しかし、ここで一件落着とはならないことも、また多いのです。
「ソフトウェアのサポート切れでバージョンアップが必要というのが、どうも再構築の本当の理由にも思える」「(巨額の)投資を正当化するための方便で、(CIOは)『守りのDX』をくっつけているだけじゃないのか?」という話題へと、かなりの頻度で展開していきます。
このバージョンアップは、一般人には地味に見えますが、実はかなり対応に注意が必要となるトピックです。
「ソフトウェアのバージョンアップ」とは?
基幹系システムはパッケージ・ソフトウェアを用いて構築されることが主流です。
なかでもSAP社のERPが世界で最大のシェアを有しており、国内でも大企業中心に2000社が導入しています。
ソフトウェアには(Windowsでご存じのように)サポートの期限があり、バージョンアップをすることが強く推奨されます。
ただ、期限が切れたからすぐに停止するわけでもありませんし、なによりも巨額の投資を伴うために、投資承認の獲得に悩む情報システム部門(そしてそれを支援するシステム会社やITコンサルタント)も少なくないといった状況です。
2017年(2025年の崖のレポートの1年前です)にSAPジャパン社が「現行バージョンのサポートは2025年で終了」と発表しました。
これにより、2025年までにSAPのERPを用いた基幹系システムのバージョンアップをしなければならないという認識が、デジタル・IT関係者の間で形成されました(その後、すべてのバージョンではありませんが、サポートの終了年の2027年までの延期、追加料金により30年までの延長が発表されています)。
SAPの新バージョンの「S4/HANA」へのバージョンアップには、100億円を超える予算が必要になることも珍しくはありません。
ちなみに2024年4月にシステム障害を起こした江崎グリコも、これへのバージョンアップでした。
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