誰が本当の夫?「清少納言の夫」のさまざまな説 夫の1人と言われている橘則光には物騒な話も
しかし、寝ている間も彼は「今日のことが私の仕業と知られたらどうしよう」と案じ、熟睡することはできませんでした。
夜が明けると案の定「大男が3人も斬られているぞ」「余程の使い手か」「皆、同じ太刀で斬られている。盗賊と間違えられたのか」と人々が集まり、騒ぎ出しました。
渋々見に行ったところまさかの光景
則光も仲間から見物に行こうと誘われます。行くのは嫌でしたが、行かないというと疑われると思ったので、渋々、見に行きます。
現場には、男性たちの死体が昨日のまま転がっていました。その現場で髭を生やした30歳頃の男性が、手を振りつつ、あれこれ言っているのを目にしました。則光がその声を聞くと、3人の男性たちを殺したのは自分だと主張していました。
目が血走り、髪は赤く、鼻が垂れ下がっている30代の男性は、貴族たちに「盗賊かと思い、退治しました。が、よく見れば、日頃から私のことを付け狙っている者でございました」と説明していました。
男性の説明を聞いていた則光はおかしくて仕方なかったのですが、自分のやったことがバレないと思い、嬉しく思ったというのが、この話の結末です。清少納言の夫が武勇に秀でていたことがわかります。
(主要参考・引用文献一覧)
・岸上慎二『清少納言』(吉川弘文館、1987)
・繁田信二『殴り合う貴族たち』(柏書房、2005)
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