誰が本当の夫?「清少納言の夫」のさまざまな説 夫の1人と言われている橘則光には物騒な話も

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しかし、寝ている間も彼は「今日のことが私の仕業と知られたらどうしよう」と案じ、熟睡することはできませんでした。

夜が明けると案の定「大男が3人も斬られているぞ」「余程の使い手か」「皆、同じ太刀で斬られている。盗賊と間違えられたのか」と人々が集まり、騒ぎ出しました。

渋々見に行ったところまさかの光景

則光も仲間から見物に行こうと誘われます。行くのは嫌でしたが、行かないというと疑われると思ったので、渋々、見に行きます。

現場には、男性たちの死体が昨日のまま転がっていました。その現場で髭を生やした30歳頃の男性が、手を振りつつ、あれこれ言っているのを目にしました。則光がその声を聞くと、3人の男性たちを殺したのは自分だと主張していました。

目が血走り、髪は赤く、鼻が垂れ下がっている30代の男性は、貴族たちに「盗賊かと思い、退治しました。が、よく見れば、日頃から私のことを付け狙っている者でございました」と説明していました。

男性の説明を聞いていた則光はおかしくて仕方なかったのですが、自分のやったことがバレないと思い、嬉しく思ったというのが、この話の結末です。清少納言の夫が武勇に秀でていたことがわかります。

(主要参考・引用文献一覧)
・岸上慎二『清少納言』(吉川弘文館、1987)
・繁田信二『殴り合う貴族たち』(柏書房、2005)

濱田 浩一郎 歴史学者、作家、評論家

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はまだ こういちろう / Koichiro Hamada

1983年大阪生まれ、兵庫県相生市出身。2006年皇學館大学文学部卒業、2011年皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。専門は日本中世史。兵庫県立大学内播磨学研究所研究員、姫路日ノ本短期大学講師、姫路獨協大学講師を歴任。『播磨赤松一族』(KADOKAWA)、『あの名将たちの狂気の謎』(KADOKAWA)、『北条義時』(星海社)、『家康クライシスー天下人の危機回避術ー』(ワニブックス)など著書多数
X: https://twitter.com/hamadakoichiro
 

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