日本破綻を防ぐ2つのプラン 小黒一正、小林慶一郎著 ~大規模な円売り介入のプランBも論じる

日本破綻を防ぐ2つのプラン 小黒一正、小林慶一郎著 ~大規模な円売り介入のプランBも論じる

評者 河野龍太郎 BNPパリバ証券チーフエコノミスト

公的債務が将来の増税で返済されないことが広く認識された段階で、国債価格の暴落と共に、円安が加速する。今回の欧州危機で明らかになったとおり、財政危機が生じると、国債を大量に保有する金融機関の自己資本が毀損し、金融危機も生じる。

本書は、マクロ経済学・財政学の専門家が破綻を回避するための処方箋を論じたものである。類書と異なり、正攻法であるプランAだけでなく、改革が進まない場合の保険として、プランBも論じられている。

プランAでは、世代間の公平性を確保しつつ、持続可能な財政・社会保障制度を構築するための制度改革論が論じられ、評者も全面的に同意する。しかし、これらを実現するには巨大な政治的エネルギーと膨大な時間を要し、改革が頓挫する際の対応策も考えておく必要がある。

プランBでは、事前の大規模な円売り介入を提示する。円高の進む現段階で大規模に円売り介入を行えば、まず円高回避に役立つ。財政危機が始まると、今度は円安が加速するが、円売り介入で蓄積された外貨の価値が高まるため、その含み益で財政状況が改善する。これによって、国債や円の大暴落そのものが避けられるという。ただ、保有外貨資産の含み益によって財政状況を改善させるには、GDPと同規模かその倍の外貨資産購入が必要だろう。

関連記事
トピックボードAD
  • 井手隊長のラーメン見聞録
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • Tリーグ成功への道のり
  • 就職四季報プラスワン
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
携帯料金は4割下がる?<br>「高い」の根拠を徹底検証

菅官房長官の「4割下げられる」発言の数値的根拠は正当か? やり玉に挙がるキャリア3社の携帯通信料金の解明に担当記者が挑む。結論は「高いとはいえないが、キャリアは儲けすぎ」。取られすぎと感じる人必読の渾身リポート。