炎上会見で露呈、期待が迷走に変わった日大改革 焼け跡から再建を果たした「中興の祖」が源流に
ハチの巣をつついたようなパニックに
紺色のスーツに身を包んだ学校法人「日本大学」理事長の林真理子が2023(令和5)年7月11日、記者会見に臨んだ。ワンマン理事長として知られた田中英壽体制の下、理事が背任事件を引き起こした日大では、田中自らが脱税事件に問われ、大学を追放された。
代わって日本最大のマンモス私立大学を率いるようになったのが、芸術学部OGである小説家の林である。学校法人のトップに就いた林は大学改革に乗り出した。
それからちょうど1年を経て、意気揚々と臨んだ記念すべき記者会見になるはずだったに違いない。東京・市ヶ谷の日大本部の会見会場に集った記者団に呼びかけるかのようにボルテージをあげ、鼻孔を膨らませながら言った。
「私としてはすべての膿を出し切ったと思っております」
しかし、ここから事態が暗転する。
実はこの記者会見の1週間ほど前、日大内部ではアメリカンフットボール部の薬物問題が発覚していた。林が会見時にそれを知っていたかどうか。少なくとも当事者たちはこのときすでにハチの巣をつついたようなパニックに陥っていた。そんな渦中の理事長会見だったのである。
林の会見からほどなくし、マスコミに日大アメフト部員の大麻使用疑惑が漏れ出して、7月末から取材が殺到した。林真理子は月の明けた8月2日朝、自宅に詰めかけた記者から玄関先で質問攻めに遭う。記者たちの質問に苛立ち、彼らの口を封じるかのように思わず言い放った。
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