辻井伸行「歴史に残るような音楽家になりたい」 目標はベートーヴェンのソナタ全曲演奏への挑戦

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ヴァン・クライバーン氏の言葉が心に残っている(撮影:今井康一)

――最近は、クラシックの若手音楽家がYouTubeでさまざまな配信を行ったり、若手だけ、あるいは女性だけで集まってオーケストラを組んだりしています。クラシック音楽界の新しい潮流をどう見ていますか。

YouTubeなどを通して、クラシック音楽が多くの人に広まっていっていることは僕も感じます。ただ、僕がヴァン・クライバーンコンクールを受けた後に、ピアニストのヴァン・クライバーンさん本人にかけていただいた言葉が心に残っています。「クラシック音楽に今まで興味がなかった人にも生の演奏を聞いてもらえるようなピアニストになりなさい」と。

さまざまな形で聞けるのはすごくいいことですが、生の演奏は1回きりのものなので、一期一会というか。そのときにしか出合えないものがある。同じ曲でもホールの響きによっても印象が変わってくるし、お客さんの空気感によっても演奏は変わる。生演奏でその臨場感を、ぜひ味わってもらいたいですね。

「生の演奏」を楽しんでもらいたい

――辻井さん自身は今後、どんな活動をしていきたいと思っていますか。

ロシアの作品はコンチェルトでたくさんやっているんですが、ラフマニノフやプロコフィエフのソロの大曲はまだあまり弾いたことがありません。そういう曲も弾いてみたいし、ベートーヴェンも僕にとってはものすごく大切な作曲家です。将来はピアノソナタ32曲全曲をレパートリーにして、全曲演奏会もやりたい。できればソナタ全集を録音できたらという夢もあります。

今は国内、海外のいろいろなところで弾かせていただく機会があるので、まずはそれを一つひとつ大事にして、いい演奏にしたい。クラシック音楽にまだそんなに興味がない人、若い人でも僕の生の演奏を楽しんでもらえるような、そんなピアニストになっていきたいですね。まだ演奏したことのない作曲家にもたくさん挑戦して、歴史に残るような音楽家になっていきたいと思っています。

森 創一郎 東洋経済 記者

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もり そういちろう / Soichiro Mori

1972年東京生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科修了。出版社、雑誌社、フリー記者を経て2006年から北海道放送記者。2020年7月から東洋経済記者。

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