不祥事相次ぐ野村、問われる再発防止策の実効性 強盗殺人未遂に先物相場操縦、業界の信用に傷

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野村証券が掲げた社員に対する監視強化の実効性も未知数だ。というのも、野村証券では社員が休日に顧客の自宅を訪問する際、上司の事前承諾を得るルールが従前からあった。しかし、会見では事件を起こした元社員がこのルールを守っていなかったことも明らかになった。

事件翌日の月曜日に、前日に訪問した顧客宅が火事になったことを報告した際、事前に聞いていなかった上司はルール違反について特に叱責しなかったといい、ルールがきちんと守られる体制になっていたのか疑問が残る。新たなルールを作っても、それがきちんと守られなければ意味がない。

野村の営業カルチャーとの関係は

事件の背景として、営業担当社員に対する過度なプレッシャーや、数字を求める企業文化があったのではないかとの質問も相次いだ。奥田社長は「カルチャーに対する指摘については真摯に受け止める。対策をもっと強化して、二度とこうした事案は起こしたくないと思っている」と答えた。

野村証券をめぐっては、元社員の逮捕と同じ10月30日、国債先物取引で相場操縦を行ったとして金融庁から課徴金納付命令を受けた。2021年の事件とはいえ、同社のコンプライアンスが問われる重大な不祥事が相次いだことになる。こちらの事件をめぐっては、債券発行の引き受け業務から野村証券を外す動きがみられた。

野村HDは2024年度の中間決算で純利益1673億円(前年同期は585億円)をたたき出すなど、業績は好調だ。ROE(自己資本利益率)は年換算で目標とする10%を超えた。

一方で、株価はPBR(株価純資産倍率)1倍を割った状態が続いており、もう一段の業績拡大と株価上昇が次の課題になっていた。その矢先に起きた不祥事の連発。マーケットの期待に応えるためにも、まずは事件の反省を踏まえた再発防止策への真摯な取り組みが求められる。

高橋 玲央 東洋経済 記者

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たかはし れお / Reo Takahashi

名古屋市出身、新聞社勤務を経て2018年10月に東洋経済新報社入社。証券など金融業界を担当。半導体、電子部品、重工業などにも興味。

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