人事評価のあり方も職業倫理やリスク管理の項目などを拡充する内容に見直すほか、非管理職に対しても360度評価を導入するなど人事制度を大幅に変える。奥田社長は「今までも社員の不正行為に対して対策を講じてきた。それらに加えて強化できることはなんだろうかを考えた」と、今回の対応策について説明。奥田社長ら役員10人の報酬自主返納も発表した。
今回の事件は、野村証券の内部管理体制の課題も浮き彫りにした。その1つが会社としての対応の遅れだ。
会見での説明によると、会社が事態を把握したのは、公表よりもはるか前だった。事件5日後の8月2日、会社側は元社員から、顧客宅での火災について警察から放火の疑いが持たれていること、訪問時に顧客の現金を奪ったとの申し出を受けていた。
これを受けて8月4日に元社員を懲戒解雇。8月2日の段階で社長を含む経営幹部にも事件の知らせは入っていたという。
その後、元社員は10月30日に広島県警に逮捕された。翌日には容疑者が野村証券の元社員であることが大きく報じられたにもかかわらず、会社としての正式な発表はなかった。逮捕2日後の11月1日には親会社である野村ホールディングス(HD)が中間決算を発表。北村巧CFOによる決算会見も開かれたが「捜査に関することなのでコメントは控えたい」「まだ事実確認中」といった回答に終始した。
結局、11月6日になってようやく正式な公表を行ったが、遅きに失したとの批判は免れない。
こうした対応については、12月3日の会見でも報道陣から「個人の責任だとして(会社側は)軽く受け止めていたのではないか」と厳しい質問が寄せられ、謝罪を迫られる場面もあった。ある業界関係者も「対面証券のビジネスモデルを揺るがしかねない事件。事件把握から逮捕まで3カ月もあったのに、逮捕後速やかに対応策を出せなかったのは不思議だ」と首をかしげる。
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