心が強い人は「不安は妄想」だと知っている 実体のないものに反応するのはムダ!

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(3)の“見通し”こそが「自信」です。こうしてみると、本当の自信は、「できる」という判断・妄想ではなく、「やってみる」その先に来るものだとわかりますね。

「まずやってみる」というシンプルな生き方

「やってみるというのが難しいのです」「つい足踏みしてしまいます」という人がいます。気持ちはよくわかりますが、そんな人こそ「これは妄想なんだ」と理解するように努めてください。

「やってみる」という行動を妨げているのは、「失敗するかも」「迷惑をかけるかも」「私なんてまだまだ」といった判断・妄想にほかなりません。それこそが「心の反応のクセ」。だからこそ「妄想しない練習」をこれから始めるのです。

妄想しない。まずやってみる。

これが「自信をつける」正しい方法・王道です。まさに禅の世界にいう「とらわれのない心」です。これまで「仏教」「禅」という特殊な世界で語られてきたことですが、「ムダな反応をせず、心をクリアに保つことで、心の能力(パフォーマンス)を上げる」というのは、現代人に欠かせないメンタルトレーニング(心の練習)でもあるのです。

妄想にとらわれない心なら、物事がシンプルに進みます。

何をすればいいかわからなければ、「何をすればいいですか?」、やり方がわからなければ、「どうすればいいですか?」と聞くだけです。

教えてくれれば「ありがとうございます」。迷惑をかけたら、「すみません」と素直に謝るだけです。

そして「頑張ります」という最初の思いに立ちます。

あとは、妄想しない心で、どれだけ作業に集中できるかにチャレンジします。

初心に立ち返って「やってみる」。その積み重ねの先に「これならできる」という“見通し”がつけられるようになる。そのときの思いを「自信」と表現するのです。

「不安」は妄想です。ムダな反応にとらわれずに、シンプルに進んでいきたいものですね。 

草薙 龍瞬 僧侶、興道の里代表

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くさなぎ りゅうしゅん

1969年、奈良県生まれ。中学中退後、16歳で家出・上京。放浪ののち、大検(高認)を経て東大法学部卒業。政策シンクタンクなどで働きながら「生き方」を探求しつづけ、インド仏教指導僧・佐々井秀嶺師のもとで得度出家。ミャンマー国立仏教大学、タイの僧院に留学。現在、インドで仏教徒とともに社会改善NGOと幼稚園を運営するほか、日 本では宗派に属さず、実用的な仏教の「本質」を、仕事や人間関係、生き方全般にわたって伝える活動をしている。毎年夏の全国行脚や、経典の現代語訳の朗読 と法話を採り入れた葬儀・法事を行うなど、「もっと人の幸福に役立つ合理的な仏教」を展開中。著書に『これも修行のうち。』『反応しない練習』(KADOKAWA)、『大丈夫、あのブッダも家族に悩んだ』(海竜社)などがある。 

著者ブログ

感想・お便り:koudounosato@gmail.com

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