スタバ「賛否両論の紙ストロー」廃止が意味する事 環境への配慮と消費体験をうまく共存させる試みだ
そこで登場したのが、今回の「バイオマス素材ストロー」だ。先ほども触れた通り、海洋の中で溶けるため、環境にいいが、同時にプラスチックでもあるから、紙ストローの問題点を解決してくれるものにはなる。
ただ、一般にバイオマス素材ストローは製造コストが高いというデメリットもある。各国でその生産は盛んになりつつあるが、まだ一般的ではないからだ。したがって、スタバにとっては必然的に商品の提供コストが上がってしまうことにもなる。
今後の商品の値上げの要因になる可能性もある変更だが、「顧客の満足度」と「環境効率」の折衷案として、導入が決まったのではないか。
矛盾を抱えて成長してきたスタバ
今回の件で「さすがスタバだな」と思ったのは、最近はこうした「意識高い施策」と「顧客満足度」の乖離が明確になってきていて、その中で反動のように「意識高い施策」をやめてしまう企業も増えてきているからだ。
例えば、アメリカ大手スーパーマーケットの「ウォルマート」は11月25日、従業員の個性を尊重する「DEI(多様性、公平性、包摂性)」推進の施策を一部撤回する方針を示した。
世界中でマイノリティーに対する機会の平等が求められている中でのこの決定は、波紋を呼んだが、ウォルマート側からしてみれば、こうした決定は不思議なことではないだろう。
というのも、DEIでマイノリティーが優遇されたことによって、マジョリティーである白人男性たちの不満が高まったからである。
当然のことながら、DEIは重要だし、筆者としても決して否定しない。すべての人が安全・安心に暮らせる社会を作っていくべきである。
しかしながら、企業からしてみれば、そのもっとも大きなボリュームゾーンである顧客の満足度を損ねることは、多様性云々の前に企業全体の利益を損ねることにもなりかねないという問題があるのだ。
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