日本は共同親権の「負の歴史」に学んでいるのか 「欧米はどこも共同親権で成功」の勘違い

✎ 1〜 ✎ 153 ✎ 154 ✎ 155 ✎ 156
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

マンガで描いた以外にも、「養育費」も日本と海外では大きな違いがあります。

まず日本は、協議離婚がほとんどで、養育費の取り決めをしないままに離婚する人も多く、養育費の不払いが多いことも問題になっています。罰則がないため、公正証書を交わしても支払われないこともあるという当事者の声も聞きました。

ただ、共同親権の施行と同時に、養育費制度も見直しが予定されています。支払いが滞った場合には、ほかの債権よりも優先的に財産の差し押さえができるようになる「先取特権」がつけられたり、父母の協議などによる取り決めがない場合にも、養育費請求が可能になります。

さらに、調停で養育費などを決める段階でも、裁判所は当事者の収入や資産の情報開示命令を出すことができるようになります。

しかし、海外ではもっと厳しい徴収を行なっている国もあります。たとえば、アメリカでは、養育費の給与天引き、税還付からの相殺が全ての州で行われています。また、不払いの場合には、収監されたり、運転免許の停止などを行う州もあります。

スウェーデンでは、養育費が支払われない場合は、社会保険事務所に申請すれば立て替え払いとして手当が支給される制度があります。

こういった国のことを考えると、日本は法改正をされても、まだまだ養育費不払い問題は解決されないと想像できます。

ただ、日本では明石市や大阪市など、独自のやりかたで養育費を確保する自治体もあります。国が自治体まかせにしていていいのだろうか?と個人的には疑問に思いますが、とにかく大事なのは、子どもの監護(世話)をしている家庭が貧困に陥らないことです。

次回は、別居・離婚に至る大きな原因のひとつ、DVやモラハラなどの加害について分析します。

ハラユキ イラストレーター、コミックエッセイスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

はらゆき / Harayuki

雑誌、書籍、広告、Webなどの媒体で執筆しつつ、コミックエッセイの著書も出版。2017年から約2年間バルセロナに住んだことをきっかけに、海外取材もスタートさせる。著書に『女子が踊れば!』 (幻冬舎)、『王子と赤ちゃん』(講談社)、『オラ!スペイン旅ごはん』(イースト・プレス)、この連載を書籍化した『ほしいのはつかれない家族』(講談社)など。この連載のオンライン・コミュニティ「バル・ハラユキ」も主宰し「つかれない家族をつくる方法」を日々探求、発信中。ハラユキさんのHPはこちら

 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事