「アプリの自分に近づきたい」若者たちの美容医療 現場の医師が語る、変わるニーズと抱える問題
もう1つは、初めて美容医療を受ける人の場合。こちらはテレビコマーシャルなどで、手軽で安価であることに引かれて、そのクリニックに来院するケースが多いようです。
――最近は、子どもが美容医療を受けるのを肯定的に理解する親も増えていると聞きます。
いますよ。朝、まぶたを二重にのりづけするアイプチ(二重のり)の接着に時間がかかったり、アイプチをやりすぎて、まぶたがかぶれたりしている中学生の娘を見かねて、母娘で一緒に二重の相談にくるケースもあります。
もともと未成年は親と同伴が原則なのですが、そういう意味では母親の理解は大きいですね。いまの子の母親の年代がすでにプチ整形をしていた世代で、美容外科に対するハードルが低いと感じます。
業界の信頼を損ねるクリニック
――現在の美容医療界に思うことはありますか?
美容医療を受けたいと思っている人を安い価格の広告で引き寄せ、実際には高額なメニューを無理に勧めてくるクリニックも散見されることですかね。こうしたクリニックの存在は、業界全体の信頼を損ねる原因となっていて、いま問題視されています。
私が知る限り、テレビコマーシャルを頻繁に流しているからといって、そこがいいクリニックとは限りません。
美容医療界にだって、真面目に診療している医師がいる。そういう側からしたら、問題のあるクリニックに患者さんを奪われることは非常に悔しいし、美容医療界の発展にもつながらない。
――たとえばどんなケースが気になりますか。
美容医療の場合、入り口はまぶたの内側に特殊な細い糸を留めることで、二重のラインを作る「埋没法」を希望する人が大半です。なので、問題があるとされているクリニックでは、埋没法が安く手軽にできることを前面に出して宣伝します。
そのため、美容医療初心者ほど引っかかってしまいやすい。
消費生活センターにも多数の相談が寄せられていますが、たとえば、インターネット広告で「手術当日に化粧ができる二重まぶた形成術」を見つけて来院したら、カウンセリングルームで長時間拘束され、「あなたには、この施術が必要」と巧妙なセールストークを聞かされたあげく、広告表示とは異なる50万円の施術の契約を迫られ、その日のうちに手術させられる――といったケースです。
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