欧州債務危機の行方、ユーロは崩壊するのか--欧大手コンサルテング会社創業者・ローランド・ベルガー氏に聞く
--公的資金注入は必要ないのでしょうか。
一部の国の金融機関に対しては必要になるだろう。ギリシャやポルトガル、あるいはイタリアでも一部の銀行は政府の資金に頼らざるをえなくなるかもしれない。しかし、他の国々の銀行は自力でリファイナンスする力があると思う。
利益を拡大させる一方で、配当を減らし、株主には資本増強で理解を求める。同時に、戦略的ではない資産を売却するなどバランスシートの圧縮に注力。「優れた銀行」と称されるような欧州の金融機関はこうした取り組みを通じて、公的資金なしに経営改善を図ることが可能と考えている。
--危機収束にはEFSF(欧州金融安定化基金)の銀行化が必要、とマーケットは見ています。
EFSFが銀行業の免許を取ることがあってはならない。ECBからの借り入れを受けてはならないと思う。中央銀行はそもそも政府の金融に介入する立場にない。インフレ対策などを通じた通貨価値の維持が役目であり、政府への貸し付けを行う母体ではない。
しかしながら、ECBが現在取っている施策の一部は、本来の業務の領域を超えてしまった。危機に直面する国々の国債の直接買い入れは、政府金融への介入を意味するからだ。
--最後の「頼みの綱」はドイツと見られていますが、国民感情を考慮すると、このまま危機に陥った国々の救済を続けるのは難しいのではないでしょうか。
国民感情からすれば、救済する側の国の政府が国民の信認を得るのは難しい状況にあるのは確か。ギリシャのユーロ加盟には政治的や文化的な要因が考慮された面があり、財務的あるいは経済的な状況から言えば、ギリシャがユーロにとどまらなくても生き残ることもできる。