欧州債務危機の行方、ユーロは崩壊するのか--欧大手コンサルテング会社創業者・ローランド・ベルガー氏に聞く

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--危機収束に向けて欧州各国が強い意思を見せているといっても、現実問題として厳しい財政再建策を継続することができるのでしょうか。実際に各地で公務員給与カットなどに反対するデモも起きています。

確かに、市民が受け入れるのは難しいだろう。欧州の「市民」には現在、2つの立場がある。1つは厳格なプログラムの導入を甘受する立場の市民。賃下げなどを受け入れなければならない。
 
 反対に、ドイツ、フィンランドなど財政が比較的健全な国々の市民も、危機に瀕した国々の救済に伴う財務的リスクを負わなければならず、同様に難しい判断を迫られる。
 
 ただ、欧州には民主主義が存在する。加えて、ユーロ圏の市民は、政府が意思決定の最終権限を持つことに納得している人が大半を占める。すべての加盟国がなんらかの財政再建策を発表。新政権が樹立した国では、選挙実施時に厳しい立て直し策の導入が公約として掲げられていた。その選挙を経て誕生したのが現在の政府だ。
 
 テレビではデモの様子などが映し出されているが、多くの有権者が安定化策導入の公約を掲げた候補者に票を投じたのも事実。多くの国民がユーロ統合の継続を望んでいると理解している。

--緊縮政策を続ければ、公務員の給与カットが消費の冷え込みを通じて税収減を招き、財政削減が進まない、という悪循環に陥るリスクはないのですか。現にギリシャでは財政赤字削減が思うように進んでいませんが。

ギリシャはむしろ例外。EU(欧州連合)、ECB(欧州中央銀行)、IMF(国際通貨基金)という「トロイカ」体制のメンバーも、ギリシャ政府の再建策は十分でないと見ている。だが、スペイン、ポルトガル、アイルランドなど金融支援を受けた他の国々では、緊縮策導入にもかかわらず、財務的なポジションは改善しつつあるように見える。

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