欧州債務危機の行方、ユーロは崩壊するのか--欧大手コンサルテング会社創業者・ローランド・ベルガー氏に聞く
収束の兆しが見えない欧州の債務危機。外国為替市場ではユーロが売られ、1ユーロ=100円を割り込んだ。欧州最大のコンサルティング会社ローランド・ベルガーの創業者に同問題の見通しなどを聞いた。
--欧州の財政危機をめぐっては、マーケットが期待しているところまで踏み込んだ対策が講じられておらず、「ユーロ崩壊」の懸念などを鎮めるには不十分のようですが。
不安を押さえるのは難しいし、危険な状態であるのは間違いない。ただ、欧州各国の政府はやる気を見せており、ユーロ域内の市民も危機を脱していこうと努力しつつあるところだ。
明るい兆しもある。それは危機に直面するイタリア、スペイン、ポルトガルなどで新しい政権が誕生し、厳しい財政緊縮策を導入しようという機運が高まっていることだ。これを受けて今後、安定化が進むと思っている。
楽観的に見ている理由は、新政権が誕生し、その下で新たなプランが導入されつつあることが1つ。もう1つはドイツ、フランス、フィンランド、オーストリア、オランダなど「トリプルA」格付けの国々が、ブリッジ・ファイナンス(つなぎ融資)を行う意向を表明したことだ。
これに伴い、危機に陥った国々には競争力を高めるまである程度、猶予の期間が与えられることになる。違反した場合には厳しい制裁を科されるような厳しい内容の安定化プログラムを導入せざるを得ないという意思をユーロ圏各国が示しているのも、楽観している1つの根拠だ。