北海道にホテルを作りまくる「通販会社」の"狙い" カタログ通販ベルーナが今やホテルで260億

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安野社長は、「東京や京都のインバウンド、コロンボやモルディブの稼働率、売り上げともに伸びていて、まだまだ成長を見込んでいます」と自信を見せる。

その言葉通り、同社の東京のインバウンドの割合は約85%と高く、京都では95%を占める。全体では、都市型ホテルで60%、国内ホテルのリゾート系で20~30%だそうだ。

日本人を顧客にしてきた通販会社にとって、このようにインバウンド需要を取り込むことは、広義でのリスク分散と言えるのかもしれない。 

京都グランベルホテル
インバウンドが宿泊客の95%を占める、京都グランベルホテルのロビー(写真:グランベルホテル提供) 

ただし、これはあくまで結果で、最初からインバウンドを狙ったわけではないそうだ。日本人客が中心だったが、他ホテルもそうであったように、2015年頃から飛躍的にインバウンドの利用が増えていったのだ。 

ベルーナのホテルが北海道に多い訳 

同社のホテルの26施設中5施設が北海道にあるのも、最初はインバウンドを狙ったものではなかった。

元々ベルーナの前身企業は、1975年頃から札幌、釧路、北見に事務所を構えていた。安野社長はそこへ頻繁に訪れるうちに、食や観光資源、大自然のポテンシャルが高いことを実感。「ますます人気が高まってくるだろう」「かなり集客できる場所ではないか」と、北海道でのホテル経営を構想するようになったという。 

これを機に、異業種交流会などを通じて人脈を築き、2021年、札幌とすすきのの物件との巡り合いがあって、グランベルホテルをオープン。新設とM&Aを続け、5施設を経営するに至ったのだ。 

すすきのグランベルホテル
2021年にオープンした、すすきのグランベルホテルのコーナーダブルルーム(写真:グランベルホテルグループ提供) 

前述した通り2025年には札幌、小樽にも新たな開業を控えるが、北海道ではインバウンド人気にプラスして、ここ数年、温暖化によって避暑のニーズも高まっている。こうした状況から、今後もマーケットは拡大すると睨んでいるそうだ。 

「需要と供給のバランスから見て、まだまだホテルを増やしても大丈夫だと考えています。鍵となるのは飛行機の便数で、航空燃料不足や空港への乗り入れ数にまだ課題があります。ですが行政も解決に向けて動いており、見通しは明るいのではないでしょうか」

札幌グランベルホテル
札幌グランベルホテルのトリプルルーム(写真:グランベルホテルグループ提供) 
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