北海道にホテルを作りまくる「通販会社」の"狙い" カタログ通販ベルーナが今やホテルで260億

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北海道以外では、収益性が高い東京であと2、3軒を。次いで、スリランカ、ロサンゼルスでもホテル建設を検討したいと話す。業績の向上は続きそうだ。 

利益が半減するシーズンも…

順調そのものに見えるホテル業だが、課題もある。ひとつには、リゾートにはシーズン性があり、季節によって稼働率にばらつきがあることだ。北海道は比較的安定しているが、たとえば、福島県裏磐梯にある「裏磐梯レイクリゾート」は、8月、10月の宿泊客が突出して多いという。逆に都市型ホテルは全般的に8月が弱い。 

「とはいえ、インバウンドの増加で以前よりばらつきは減っており、悪くても65~75%の稼働は維持できています。しかし中には、単価を下げなければ稼働につながらない時期もあります。結果として、純利益が半減する月も……。一年を通して単価が下がらないのは東京だけですね」と安野社長は眉根を寄せる。 

裏磐梯レイクリゾート
福島県裏磐梯の観光名所「五色沼」徒歩3分に位置する、裏磐梯レイクリゾート(写真:グランベルホテルグループ提供) 

課題はあれど、ベルーナのホテル業はなぜこんなに成功できているのだろうか。その理由はビジネスへの根本的な姿勢にありそうだ。

カタログ通販事業とホテル事業を端から見ると、まったく違って見える。けれど安野社長は、「専門性の違いは感じていません。商売の基本は同じ。弊社では呉服や化粧品販売もしていますが、『この事業だからこう』という考え方はしていないのです」とこともなげに言う。

大切にしているのは、近江商人の「三方良し」にも通ずる、3つの満足度の向上だそうだ。それぞれの要素について具体的に見ていこう。 

大阪グランベルホテル
大阪グランベルホテルの標準的なツインルーム(写真:グランベルホテルグループ提供) 
1.お客様満足度の向上 「気持ちよかった」の声を追求する 

通信販売でのお客様満足度の向上とは、いかにお客様に喜んでもらう商品を用意するかにある。これはホテルで言えば、いかに「気持ちよかった」とお客様を喜ばせ、リピーターを増やせるかに当たる。

両者に共通するのは、「顧客目線」「お客様の声を聴く姿勢」だ。「お客様の、特にマジョリティの意見は生かしていかなければ取り残されます」と安野社長はきっぱりと言う。 

だから、顧客の声を基に、接客や設えにも気を配る。接客で最も重視しているのは礼儀礼節だ。次いで、「従業員が楽しく仕事をしている姿、雰囲気をお客様に見せる」ことだという。「どんな言葉を使うか」といった形式よりも、最もそれがダイレクトに伝わると説明する。 

他方、設えについては、積極的に投資をしてリノベーションすることを心がけている。

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