病理解剖をすることで、その動物がどのような理由で亡くなったか、そのプロセスを知ることができます。
突然死んでしまったウサギも、病理解剖によって、「飼い主さんが気づかないうちに子宮がんができていて、それが全身の臓器に転移しており、そんな素振りは見せなかったけれど、すいぶんと苦しかったはず」――ということが判明することもあります。
教訓が後の動物を生かす
家族同然だったペットの死を受け入れるのはつらいことですが、せめて死の原因がわかれば、飼い主さんがペットの死を理解し、死に納得する助けとなります。
死の原因を理解・納得したら、それをきちんと教訓としたうえで、後の動物たちと接してあげてほしいと思います。
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なかむらしんいち / Shinichi Nakamura
1982年生まれ。大阪府出身。岡山理科大学獣医学部獣医学科講師。獣医師、博士(獣医学)、獣医病理学専門家、毒性病理学専門家。麻布大学獣医学部卒業、同大学院博士課程修了。京都市役所、株式会社栄養・病理学研究所を経て、2022年4月より現職。イカやヒトデからアフリカゾウまで、依頼があればどんな動物でも病理解剖、病理診断している。著書に『獣医病理学者が語る 動物のからだと病気』(緑書房,2022)。
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おおたに ともみち / Tomomichi Ohtani
1982年生まれ。兵庫県出身。東京大学農学部卒業。同大学院農学生命科学研究科水圏生物科学専攻修士課程修了。同博士課程中退。出版社勤務を経て2015年2月にスタジオ大四畳半を設立し、現在に至る。農学・生命科学・理科教育・食などの分野の難解な事柄をわかりやすく伝えるサイエンスライターとして活動。主に書籍の企画・執筆・編集を行っている。著書に『増補版寄生蟲図鑑 ふしぎな世界の住人たち』(講談社)、『眠れなくなるほどキモい生き物』(集英社インターナショナル)、『ウシのげっぷを退治しろ』(旬報社)など。
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