就活時期「再見直し」議論で見落とされる本質

経団連会長の発言は大義名分に反しないか

政府や経団連は、「混乱した」「ルールが守られなかった」という論理よりも、そもそも「学生にとって勉強の機会を確保できたのか」「留学が推進されたのか」という論理から検証するべきではないのだろうか。

とはいえ、榊原会長の発言からは、その真意は読み取れない。そして、就活時期繰り下げに関して批判的なコメントをするメディアもこの側面から批判した記事はほぼ見かけたことがない。採用担当者や大学教職員のネット上での発言においてでもある。

タテマエ議論が就活繰り上げを招いた

薄々気づいた方もいるだろう。実はこの、勉強だとか、留学だとかという大義名分はどうでもよかったのではないかということが見え隠れしないか。そして、この勉強や留学の問題は就活だけが阻害しているわけではあるまい。就活が便利な悪者にされてしまったのではないかと思うのだ。

そもそも勉強するかどうかは、これは就活だけの問題ではない。大学の問題だと考える。大学や教員がどれだけ教育を徹底するかの問題だとも言えるだろう。さらにいうならば、今どきの学生は構造的に時間もおカネもない。無理して大学進学する層、ゆえにおカネがなくバイトをせざるを得ない学生、遠距離通学をする学生がいるからだ。

単位取得も以前ほど楽勝ではないし、出席も関係するようになり、学校には行かざるをえなくなっている。時間がない中、単位取得のために大学に学生を呼んでいるのだが、就活が直接関係ない時期も含めてちゃんと勉強させているのだろうか。この点においては、大学教員(私もだ)は、就活「だけ」に責任転嫁せず、事態を真摯に直視すると共に、自らの取り組みを振り返るべきだろう。

思うに、この就活時期繰り下げ狂騒曲というのは、大学も企業もいい子ぶって、タテマエで議論したからこうなったのではないだろうか。大いなるタテマエをぶちあげてしまったことは政府も経団連もどう収束させるのだろう。

今回の就活時期繰り下げに対して私は批判的な立場ながら、メリットもあったと考えている。就活、もっと言うと大学生活の実態が明らかになったことだ。どんなにルールを作っても破られることやすり抜けることは今回も証明されてしまった。

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