AIブームの「新世界編」でエヌビディアはまだ稼ぐ 「推論」用途で半導体・計算量の見立てが激変
――今後の生成AIブームの動向、それに連動するエヌビディアの動向をどう見ていますか?
今年の7月末に『週刊東洋経済』で半導体特集を手がけた際には、AI半導体マーケットについては「今後数年安泰だが、その先はわからない」というのが業界のコンセンサスでした。それには、AIの用途が「学習」から「推論」に変わっていくことが関係しています。
「学習」はデータセンターで巨大な電力を使いながら行うものだけど、「推論」はスマホやパソコン、自動車などの端末=エッジで行うパターンが多いとされてきました。
エヌビディアの半導体は大消費電力下での性能に長けていて、データセンターで使うのに最適なもの。なので、用途が「推論」に移っていく過程で、AIマーケットでのシェアをずっと維持することは難しいのではないか、といわれてきました。
ここ数カ月で見立てが変わった
そんな見立てが、この2、3カ月で一気に変わってきました。
きっかけは、ChatGPTが「o1」という新しいモデルを出したこと。今までのものとスタイルが違って、こちらの問いかけへの答えを返すまでに、必要な推論を何回も何回も行う。そのうえでいちばんよさそうな答えを返す、というスタイルのものです。
できること・できないことはありつつ、前身のモデルと比べても明らかに複雑なことができるようになっているといいます。
「学習」においては、データを突っ込めば突っ込むほど、つまりGPUを使えば使うほど賢くなるという考え方が浸透していて、これを「Scaling Law」(スケーリング則)といいます。それが「o1」の登場で、「推論」にも当てはまることがわかったわけです。
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