激安眼鏡JINSの挑戦、“機能性”で新市場を狙え

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タイ洪水の危機を契機にレンズ自社企画化が加速

こうした競合に打ち勝つための次の一手は、レンズのSPA化だ。

眼鏡各社ともフレームの自社企画は進んでいるが、レンズはニコン、HOYAといった国内メーカーから仕入れているものがほとんど。レンズメーカーとの共同開発もあるが、眼鏡店が主導することは難しく、商品開発の自由度が狭まっているのが現実だ。ジェイアイエヌはこの壁に挑戦しようとしている。

きっかけとなったのは昨年10月のタイの洪水だ。調達先の国内レンズメーカーの主力工場は被災したタイ。10月にレンズの供給が激減し、苦肉の策として、海外のレンズメーカーとの直接交渉を余儀なくされた。

ちょうど10月に、海外から直接レンズを輸入できる、医療機器の輸入販売の認可を受けていた。これを活用し、不足分のレンズを新たに海外メーカー2社から代理店を通さず調達したのだ。「これによって海外メーカーとの直接のパイプができた」(田中社長)。早速、このパイプを生かし、花粉を92%カットする新形状のレンズ開発に着手した。

海外レンズメーカーとの直接取引により、機動的にレンズ開発ができる体制と、レンズのコスト優位性を手に入れた。ただ、視力矯正用眼鏡では、国内レンズメーカーのブランドへの安心感は根強いため、せっかくの強みが十分に発揮できない。

一方、機能性眼鏡は視力矯正用ほどレンズのブランドは問われない傾向がある。機能性眼鏡を拡大できれば、自社企画レンズの強みが生かせるようになり、自社企画レンズが増えれば、機能性眼鏡の競争力もアップする好循環が期待できる。

フレームに加えレンズのSPA化にも足を踏み入れたジェイアイエヌ。眼鏡のすべてを自社でコントロールし、他社が追随できない商品力と低価格を実現できるか。機能性眼鏡の成否は業界の未来も左右する。

ジェイアイエヌの業績予想、会社概要はこちら

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(鈴木良英 =週刊東洋経済2012年1月14日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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