「レプリコンワクチンのデマに徹底的に対抗する」 不安に対しMeiji Seika ファルマ社長が答えた

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――コスタイベは既存のコロナワクチンより安全性が高いのでしょうか?

もちろんだ。ベトナムで約1万6000例の被験者を対象に行った治験では、コスタイベ接種群で、重篤な有害事象の発生率は1日目から92日間で1.5%だった。

こばやし・だいきちろう/1954年生まれ。立教大学経済学部卒業後、1979年に明治製菓入社、2010年に同執行役員。2011年にMeiji Seika ファルマ執行役員、2013年に同取締役兼常務執行役員。2014年から現職(撮影:今井康一)

これに対し、プラセボ(生理食塩水など効果のないもの)を接種した群では2.5%だった。さらに、92日から210日までの発生率はコスタイベ接種群もプラセボ接種群も1.2%だった。

これはすごい、開発しなければと思った。治験で得られたデータを基に、安全性から出発したワクチンといえる。しかもこのワクチンは、少量の投与でも効果が長続きする。

――今後、国民に対してどうコミュニケーションを取っていきますか?

前提として、医療用医薬品の効果・効能についてメーカーから一般の方へダイレクトに伝えてはいけないという広告規制がある。当社からこのワクチンは安全で有効ですとはいえない。

一般の方が臨床試験の結果にアクセスしたいのであれば、厚生労働省(医薬品医療機器総合機構)のホームページを見てもらえば、死亡例も含めてデータはすべて開示されている。

また、医学専門家や国会議員が流すデマに対しては、徹底的に対抗する。一般の方に「そこまでやるなら、あれはやっぱりデマだったんだ」と安心してもらえるような土台をつくっていく。

開発の意欲は批判があっても揺るがない

――不安をあおる言説が広がったことで、今後のワクチン事業への影響はありますか?

ワクチンを販売する企業全体で、大きく意欲がそがれたと思う。デマによって、コロナワクチンを接種しない人が多く出てきているからだ。接種者が少なければ、業界全体でワクチンの在庫を抱えてしまう。廃棄が出た場合、来年も製造数量を維持するかというと、そうではない。会社はこれを経営リスクと捉える可能性がある。

計画を見直す会社も出てくるだろう。でもこれは、国民の皆さんが本当に望むことなのだろうか。

mRNAワクチンやレプリコンワクチンの将来性については大きな期待を持っている。われわれの医薬品開発の意欲は、批判があっても揺るがない。

田口 遥 東洋経済 記者

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たぐち はるか / Haruka Taguchi

飲料・食品業界を担当。岩手県花巻市出身。上智大学外国語学部フランス語学科卒業、京都大学大学院教育学研究科修了。教育格差や社会保障に関心。映画とお酒が好き。

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兵頭 輝夏 東洋経済 記者

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ひょうどう きか / Kika Hyodo

愛媛県出身。東京外国語大学で中東地域を専攻。2019年東洋経済新報社入社、飲料・食品業界を取材し「ストロング系チューハイの是非」「ビジネスと人権」などの特集を担当。現在は製薬、医療業界を取材中。

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