「レプリコンワクチンのデマに徹底的に対抗する」 不安に対しMeiji Seika ファルマ社長が答えた
――レプリコンワクチンに対して、シェディング(感染性を持ったウイルスが体内で増殖し、他人にうつすこと)の危険性を主張する人もいます。
確かに、ウイルスを弱毒化したものを体内に投与する「生ワクチン」では、シェディングが起きることがある。何らかの理由で弱毒したワクチンが体内で増え、まれに他人にうつしてしまうからだ。
しかしmRNAはウイルスではないため、シェディングは起こりえない。証明しろといわれるが、ないものをどう証明すればいいのか。普通の医師ならシェディングはないと知っている。先日、約3000人の医師に対して説明会を開いたが、シェディングについての質問は1つもなかった。
――「レプリコンワクチンが承認されているのは日本だけだから不安」との主張にはどう答えますか?
世界に先駆けて、レプリコンワクチンが日本で承認されたことには達成感があったし、評価されると思っていた。「なんで日本でしか承認されないんだ」といわれ、大変悲しい思いだ。今度、新聞に「日本で一番はダメですか」という広告でも出そうかと思っている。
現在、オーストラリアの大手ワクチンメーカー・CSLセキュラス社が欧州でレプリコンワクチンの承認申請をしている。早ければ年内、遅くても来年頭には承認されるという話だ。今後、アメリカでも申請されるだろう。
打つべきだが、一定の率で重い副反応はある
――Meiji Seika ファルマの社員を名乗る、mRNAワクチンへの不安を主張する書籍が話題になっています。
誰が書いたかわからない書籍の情報には注意してほしい。誰かがいった内容が本当かどうかという話よりも、医学や医療介入の情報を正確に伝えるべきだ。一般の方はまったくわからないのだから。
――不安を感じている人に対して、寄り添ったコミュニケーションも必要ではないですか?
いや、ワクチンを打つべきだとちゃんと伝える必要がある。「打つ、打たないは本人の自由です」だと、リスクを超えて打つ人は誰もいなくなる。「打つべきです、ただ、一定の率で重い副反応はありますよ」として、その後はご自身で考えてもらう。
国民が医療に関して、自己決定権をきちんと持つことが重要だ。手術をする時は必ず同意書を取るでしょう。医療行為が上から目線で強制されているように思われているが、実はそうではない。
強調したいのは、医療行為にリスクがあるのは当然ということだ。これを根気強く伝えていく必要がある。国民が正確な情報を得て、その後に自分が決断することが必要だからこそ、デマを流すことはあってはならない。
接種者や医療介入を受ける人たちに「大変ですね、不安もわかります」というのは寄り添うことではない。インフォームドコンセント(説明と同意)という言葉があるように、選択肢をエビデンス(科学的根拠)に基づいたデータとともに示し、本人が理解できるように説明することこそが、寄り添うことだと考える。