海野さんの実家は香川県で地元企業向けのユニフォームの製造業を営む。祖父の代から続く会社で、現在は父親が引き継いでいるそうだ。
祖父も父も東京の大学で学んだ後、地元に戻ったという経緯がある。「僕も大学から県外に行くことは、既定路線として意識していました」という海野さん。
関西学院大学を経て、明治大学大学院のグローバルビジネス研究科で経営学を学ぶために上京した。海野さんが明治大学を選んだのは、学問を身につける他にも個人的な理由があった。
「すでに亡くなっているのですが、祖父が明治大学出身だったんです。せっかく経営について学ぶなら祖父の母校で学びたいと。入学試験のときは祖父の遺影を胸ポケットに入れて、かばんにはお骨を入れて臨みました。無事合格でき、祖父も喜んでいると思います」
「四国の人口は30年後には30%減」でも…
大学院で修士課程を終えた後に、海野さんは現在働くマーケティング専門企業に就職した。都市圏で学んだ我が子が、いずれ地方の実家に戻ることを望む親は多い。しかし結局子ども世代は都会暮らしが軌道に乗り、地元に戻らないというパターンも多々あるだろう。それが地方過疎化の一つの原因にもなっている。
「そうだと思います。特に四国は人口減少が深刻で、2050年には今よりも30%人口が減る見込みだって言われているんです。東京で大学を出ても、地元ではふさわしい仕事がないとなると、戻りにくいですよね。
僕だって例外ではないです。実家は地元の人を対象にした制服や作業服の卸なので、四国で働く人が減れば、ビジネスチャンスがゼロではないにしても、じわじわ売り上げは下がっていくでしょう」
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